2011年9月3日土曜日

市政報告⑦「雇用と産業」


 ハローワーク角館管内の有効求人倍率は、平成22年1月から15ヶ月連続で前年同期を上回っており、最悪の景気状況の時期は脱したかと思われていました。しかし今回の震災の影響で、4月が前年同水準、5月0.02ポイントの減、そして6月は前月より0.06ポイント増となりましたが、前年度比では0.01ポイント減と、依然として厳しい状況になっています。
 震災による仙北市在住高校生の内定者への影響は、一時期に自宅待機がありましたが内定の取消はなく、現在では全員勤務しています。
 現在、事業経営の悪化や事業の縮小に伴い失業した方や、被災地から避難されてきた方の緊急的な雇用対策として「緊急雇用創出臨時対策基金」を活用し、離職者や未就職者等の臨時的・一時的つなぎ就労機会の提供、雇用機会の創出に取り組んでいます。また避難されて来た方を対象として、緊急雇用基金の震災対応事業等で被災者3名を雇用し、うち2名が就労中です。
 さらに「仙北市雇用創造推進協議会」では、企業の人材確保及び求職者の就職支援を目的とし、仙北市企業等連絡協議会や仙北地域振興局、ハローワークの協力をいただき、明日9月2日、角館交流センターで就職面接会を開催することにしています。

 市の産業振興に関する基本事項を定め、その振興に関する施策を総合的に推進し、活力ある地域経済の発展と市民生活の向上を図ることを目的として、「仙北市産業振興基本条例」(案)を今定例会に提案しました。ご審議をよろしくお願いします。
 なお、既存の「仙北市産業振興条例」は「仙北市産業振興基本条例」と条例名が類似しているため、内容に添った名称「仙北市企業立地促進条例」に変更することも提案しましたので、ご審議をよろしくお願いします。

 歴史や文化に裏打ちされた技能・技術の活用や継承を目的に、「仙北ふるさとマイスター制度」を立ち上げました。各分野で秀でた市民を顕彰し後継者育成に尽力をいただく取り組みです。今回は茅手・茅葺き技術保持者2名、伝統料理・郷土料理指導者1名をマイスターに認定しました。この後もたくさんのマイスター誕生に努力します。

 韓国ドラマ「アイリス」は、キャスティングやストーリー展開が話題となり、そのロケ地探訪で仙北市に多くのお客様をお迎えすることができました。また、県や関係者からの情報を整理すると、「アイリス2」の制作も具体化しつつある状況とお聞きしています。その際は、ぜひ仙北市でロケを実施していただきたいと考えますが、前作の成功でロケ誘致が大変厳しい競争になることが予想されます。そこでアイリスに関する秋田県内の拠点施設として、田沢湖観光情報センター2階を使用してアイリスミュージアム(仮称)の設置を計画しています。このミュージアムは、8月中旬から台湾で「アイリス1」が放映されていること、また、10月からスタートするJR東日本重点販売地域キャンペーン、いわゆるミニDCの一環として、観光客が立ち寄れるスポットづくりという役割も担っています。
 このミュージアム設置に関する補正予算を今定例会に計上しています。ご審議をお願いします。

 10月1日から11月23日まで、「芹沢銈介展―その作品と角館の足跡―」を、角館樺細工伝承館・平福記念美術館・新潮社記念文学館の三館合同企画展として開催します。型絵染という独自の境地を創造し、人間国宝に認定された芹沢銈介の生涯にわたる芸術性豊かな作品の鑑賞と、戦時中に図案指導で訪れた角館の足跡を振り返り、樺細工など様々な分野に対する功績をたどる展覧会です。市民の皆さんはじめ多くの方々のご入館を期待しています。

 農業についてご報告します。2011年産の秋田県の水稲生育状況は、4月の長雨や低温により春作業が遅れ、本田での生育に遅れが見られました。その後の好天続きにより、生育は順調に回復し、平年並みとなりましたが、茎数は「やや少なめ」となっています。
 本市の水稲の生育状況は、6月の豪雨により一部に冠水の被害がありましたが、7月以降の平均気温が高かったことから、出穂期は平年より2日遅い8月6日となりました。病害虫の発生は、葉いもち病の発生は少ないものの、イネアオムシの発生が非常に多く、特にカメムシ類の発生が多いと予想され、8月10日に注意報が発表されています。
 今後、カメムシ類の被害や、出穂期以降の高温により、くさび米・乳白粒・心白粒などの被害が心配されることから、JA等の関係機関との連携のもとに、適切な防除、適期刈取りの啓発活動に努めます。

 農業者個別所得保障制度の申込状況は、6月30日現在の申請件数は、2,145件(個人2,123件・法人9件・集落営農組織13件)となっています。
 今後は、東北農政局大仙センターが、申請された営農計画書の内容を確認の上、該当する生産者の皆さんには年内に交付金が納入される予定になっています。
 また7月31日、大曲家畜市場において開催された「大仙・仙北・美郷畜産共進会」に、本市からは肉用牛(繁殖雌牛)の部に24頭、肥育牛の部に5頭出陳しました。
 その結果、肉用牛第1類(若牛)、第6類(成牛)、第8類(繁殖雌牛群)、肥育牛の部門で優等賞を獲得しました。県共進会は、9月3日に畜産試験場において開催されますが、本市からは9頭が出陳する予定です。

 新たな取り組み事例を幾つかご報告します。仙北市内には17の直売所があり、それぞれが独自に活動をしてきました。しかし季節型の営業体が多く、通年営業している直売所が少ないため、県内直売所と比較して販売額も下位で低迷している状況です。また、会員等の高齢化が進んでいることから、活動の継続が厳しい状況となっている直売所も見受けられていました。
 こうした現状を踏まえ、直売所間の情報共有や相互連携を啓発し、新たな販路開拓と顧客確保を共同で目指すことを目的に「仙北市直売所連絡協議会」を設立しました。今後は設立目的の達成に向けて、各種の活動を活発化したいと考えます。

 市の食育活動の一環として、地元に伝わる伝統料理や行事食を次代に継承するため、各地域運営体から推薦をいただいた10名の皆さんに「食の伝道師」として委嘱状を交付しました。知識や経験が豊富な方々で平均年齢は72歳と聞きます。皆さんは自身の中に蓄積したすべてを次代に伝えたいと張り切っています。「TEAM仙北ばぁば′S」の愛称で、市内小中学校での調理実習や郷土料理のレシピづくりのほか、商品開発の指導に取り組んいただく予定です。
 また、以前から首都圏の大都市等で販路開拓を進めてきましたが、流通経費や交通費等の安価な近隣消費地での販路開拓も重要な取り組みです。このような視点のもとで秋田市の「仲小路商店街」での物販を6月から行っています。商店街では毎月15日を「なかの日」として催事等が開催されていますが、これまで3回販売会を実施しました。秋田市民の反応も良く、秋田市内における認知度も高くなっていることから、さらなる展開を検討しています。

 「がんばろう東北教育旅行サポート事業」の応募状況は、8月17日現在、すでに3校(気仙沼・仙台・石巻市各1校)が事業申請済みとなっているほか、2校が申請準備中です。
 平成24年度以降の教育旅行への対応は、7月に仙台市内、8月には北海道及び宮城県内の主な市町村等を訪問しています。その結果、平成23年度は予約校がすべてキャンセルとなった北海道においては、来年度以降は東北に戻りたいという意向や、宮城県でもこの訪問を受け、仙北市を候補として検討したいという声が上がりました。今後も積極的な情報提供・誘致活動を継続していきます。
 なお7月の仙台キャラバン以降、予約申し込みが多数あり、平成24年度5月・6月期の宿泊を伴う農業体験は埋まった状況となっています。

 ブログ・ツイッター等を活用した農家民宿へのモニターツアーを7月からスタートし、毎月2組ずつの受入を行っています。取組みが珍しいこともあり新聞や雑誌等のメディア取材も増えているほか、ツイッター・ブログを見た読者から子ども達の夏休み期間中の受入に関する問い合わせも増えています。
 8月31日から受入農家向けのツイッター講習会を開催し、農家と旅行者との双方向交流の実現を目指すこととしています。

 市内の豊富な自然環境、再生可能エネルギー、施設等をいかした学校向けの教育旅行や企業向けの研修旅行等の受入に対応できる環境教育プログラムの作成については、緊急雇用創出事業により委託先の民間旅行業者が決まり、8月より2名の雇用を開始しています。
 木質バイオエネルギー・電気自動車実証実験など、市内では既に先進的な再生可能エネルギーの活用事例があります。また太陽光・地熱・小水力発電など可能性の高い各エネルギーも含め、プログラムづくりを進めたいと思います。

 秋田県が募集した食農観ビジネス等推進重点支援地域に「横町さくら通り会」が選定されました。
 この事業は、秋田県のふるさと元気創造戦略の主要施策の一つとして、県内の地域における農業と食品、観光を一体的に国内外に売り込む「食・農・観」連携の推進を目的に、地域の食農観事業者等が連携して行うビジネス実践に対して集中的に支援されるもので、「横町さくら通り会」のほかに2団体が選定されています。
 横町さくら通り会では、武家屋敷等インパクトのある観光素材や、鮎、西明寺栗、生保内たけのこ、花豆などの四季を通じた食アイテムの開発による年間滞在型観光ビジネスの実践を行うこととしています。
 事業費は今年度から3年間にわたり、各年度500万円を上限に県からの支援があり、有機的な連携で付加価値の高い「食ビジネス」の創出を期待しています。

2 件のコメント:

  1. アイリス効果でどれ位の観光への影響があったのか良くわかりませんが、いつまでもアイリスにしがみついているのはどうかと思います。
    正直私はまったくアイリスを見ていましたが、アイリスミュージアムに興味がわきません。
    韓流以外のことで人を呼ぶことをもっと考えたほうがよいと思います。

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  2. 門脇みつひろ2011年9月7日 5:50

     メールをありがとうございます。今回のアイリスミュージアムは、今後の韓国交流の主要な柱建てとの位置付けです。東日本大震災後、韓国、中国、台湾からのお客様が激減しました。そんな中でアイリスミュージアムは、放映された各国の認知度を頼りに、仙北市・秋田県が共同して設置するものです。
     仙北市は〝小さな国際都市〟になれる可能性が幾つもあります。ミュージアムはそのコンテンツの1つで、アイリス2の撮影ロケ地誘致だけではなく、韓国で開催される冬季オリンピックのスキー選手強化地として、また夢を描く「秋田ドラマ・シネマ館」の開設、各種の旅行商品造成などに有効と考えています。構想実現にはまだまだ時間がかかりますが、その最初の一歩とご理解ください。

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