8月15日、仙北市成人式が行われました。たくさんの若者のエネルギーに、ほんの少し気後れしながら、30歳先輩の立場から、皆さんへエールを送りました。以下、全文です。
今から46億年前に地球が誕生したと言われています。40億年前には原始生命が誕生し、地核が安定した後、何回も氷河期が来て、その氷河期と氷河期の間に生物が誕生し、次の氷河期で多くが死滅して、これを繰り返して現在に至っているそうです。
もう少し詳しく見てみると、6500万年前に霊長類の祖が誕生し、600万年前に人とチンパンジーの進化が分かれました。ホモ・サピエンスが出現したのは約20万年前です。その後、紀元前3000年ごろ、初期文明、古代エジプトだったりメソポタミアだったりが興っています。現代は紀元後2000年ですから、ザクッとまるめると、私たちは地球誕生後46億年の歴史の中で、5000年分の文明や情報しか持っていないことになります。5000年と言う時間は、地球年表で見れば、ほんの一瞬です。
東日本大震災の後に、あの津波の規模や福島の原子力発電所事故は、全くの想定できなかったと言い訳がありました。人類のたかだか5000年の知恵で、全てを想定しようと思うこと自体が思い上がりです。宇宙開発も進んでいますが、例えたら、地球というベビーベットから、やっと子ども部屋の中をハイハイし始めた程度のことで、私たちが見たこともないこと、考えも及ばないことの方が、ずっと多いのだと思います。
人間は小さな存在で、未完成な生き物です。だからと言って、いい加減に生きていい、好き勝手にやっていいと言っているのではありません。なおさら、一生懸命に生きようじゃないか、人類の文明を積み上げる担い手になろうじゃないか、何代も前のおじいちゃん・おばあちゃんから、お父さん・お母さん、私たちに命のバトンをいただいたように、次の世代に人類の種をリレーしようじゃないか、そう思って欲しいのです。
皆さんが数年前、辛くてしようがなかった悩み事も、昔の出来事になっているように、今手にしている5000年の文明も、今後、100年・1000年後の人類から見たら、笑えるほど幼稚なもの、過去の1つの体験に他なりません。皆さんそれぞれ長短ありますが、人生は約80年です。これまでの20年は、例え自分で判断したことでも自由にならなかったり、逆に失敗を咎められることがない未成年時代でした。でも、これからの60年は違います。次の世代に命のバトンを受け渡すこと、新たな価値を生み出すことに最大の努力をお願いします。神・仏、宇宙の摂理の中で生を受けた人間として、短い人生と真剣に向かい合って欲しいと思います。
何かを社会に要求するのではなく、社会に提供する側の人間になってください。自身の能力を否定することなく、無限の可能性を信じて挑戦をしてください。ふりかかった試練はチャンスです。一人で対処できなかったら周囲に助けを求めても良いのです。試練、また感謝の心が皆さんを成長させるパワーになります。そして家族・友人、ふるさとを愛してください。
何度も繰り返しますが、人生は本当に短くて、まさに一瞬の出来事です。あれこれ悩んでいる時間などありません。道が目の前に見えていたら、迷わず歩き出してください。
新成人の皆さん、本日は仙北市成人式にご出席をいただき、本当にありがとうございます。またご来賓各位におかれましては、ご多用にもかかわらず、多数ご臨席いただきました。厚くお礼を申し上げます。全ての皆さんの人生が豊かになることをご祈念し、式辞とします。
平成二十四年八月十五日
仙北市長 門 脇 光 浩