2014年6月30日月曜日

秋田内陸線新社長に佐々木琢郎氏

6月30日午前、北秋田市阿仁庁舎で秋田内陸縦貫鉄道株式会社の株主総会。新しい取締役選任の議案が提案され、佐々木琢郎氏(写真:株式会社JTB法人営業秋田支店営業担当部長)が現職出向のカタチで着任することを承認しました。

 その後、酒井一郎社長が退任のあいさつを行いました。「四者合意が内陸線の幕シメの引き金にならないよう、とにかく赤字2億円以内の達成に努力をしてきました。皆さんのご協力で2年連続でその目標を実現することができました。今回の社長交代が話題の一端となり、乗車数アップに繋がって欲しいと思います」と話していました。

 株主総会をここで一時休憩とし、別室で臨時取締役会を開催。新たに取締役に選任された佐々木琢郎氏も加わり、代表取締役社長選任の件を協議。全員一致で佐々木琢郎氏が新しい社長に決定しました。
 佐々木新社長は、「私に与えられたミッションは秋田内陸縦貫鉄道の活性化です。生活路線としての役割を果たし、観光戦略を強化し乗車する皆さんに喜んでもらえるよう、そして内陸線の素晴らしさを国内はおろか国外にまで情報発信したいと思います。どうかよろしくご協力をお願いします」と話していました。

※佐々木新社長の略歴は以下の通り
 昭和29年7月生の59歳。秋田市内に在住。昭和48年に株式会社日本交通公社に入社後、株式会社ジェイティービー盛岡営業所長、株式会社JTB東北大館支店長、るるぶトラベルプロデューサーなどを歴任。

2014年6月29日日曜日

供養佛沢の砂防堰堤が完成

昨年の8月9日、田沢湖の供養佛地区で発生した土石流は、6人の命を奪った甚大な災害でした。それから1年が過ぎようとしています。その間、地元町内会をはじめ、市民や市議会、秋田県、国土交通省など多くの皆さんからご支援をいただき、現地の復旧・復興対策が行われてきました。そして今日、現地で供養佛沢砂防堰堤完成式典が行われました。

 災害の発生直後から、市や県・国の取り組みが組織的に連動しました。被災者の避難先の確保、生活支援で市民が一丸となり、行方不明者の捜索では酷暑の中、消防や警察、自衛隊が朝から晩まで献身的な活動を展開。その間、二次災害の発生をくい止める応急対策と、恒常対策が何度も検討され、一つひとつ不安払拭の手法を実施し続けた毎日でした。

 昨年の9月3日、国土交通省で太田大臣と面談。太田大臣は「亡くなった方々に心から哀悼の意を表します。6人の方々が亡くなった大変な災害です。対応は国が直轄事業で行います。来年の梅雨の時期には対策が終えるよう取り組みを進めます」との発言をいただきました。その10日後、同省は正式に「土石流災害に対する緊急工事の実施」を発表。そして10月1日に砂防堰堤工事がスタートしました。

 本当に素早い対応でした。太田大臣は約束を何一つ違えず実現してくれました。佐竹知事の判断と応急措置、県選出の国会議員の働きかけ、どれ一つ欠けても今日を迎えることができなかったと思います。写真は式典での下総芳則町内会長のあいさつの様子。「皆さんのおかげで地域に安心安全が戻ってきました。心から感謝を申し上げます」。

 この後、現地では法面対策や排水対策が引き続き行われます。町内会では慰霊碑建立の準備が進んでいます。市では災害に強いまちづくりに向け、自主防災組織の設立や防災教育の実施、防災計画の見直し、防災週間・防災月間の制定など、多くの新たな取り組みが始まっています。

伊藤愛弓さんの発表

第67回秋田県消防大会が、大仙市大曲市民会館で開催されました。消防大会は全県の消防関係者が会し、消防精神を奮起しながら、功労のあった団体などを表彰する大会です。このハレの舞台に、仙北市消防団から伊藤愛弓さんが発表者としてステージに登壇しました。

 伊藤さんの団勤務歴は2年。普段は保険の外交員として働きながら、消防団員としても地域で積極的な活動を行っています。昨年8月9日に発生した土石流災害では、自主申告で捜索活動に参加をしました。「女性には無理と思ったのか、最初は捜索活動への参加命令はありませんでした。でも消防団の一員として出ていかなければと言う使命感がありました。思った以上に痛ましい現地でした。周囲からは女性には無理という言葉も聞こえてきましたが、女性団員だってできると言うことを示したい思いもありました。ピーンと張りつめた現場の中で、女性団員だからこそ気がつくことも多く、女性団員の役割を周囲から認めてもらうことができたと思います」と話してくれました。

 素晴らしい発表でした。伊藤さん、そして女性消防団の皆さん、頑張ってください。

最後となった森林作業体験交流会

昨日から今日にかけて、首都圏の森林ボランティアと市民が林地に入り、下刈りや間伐を行う「森林作業体験交流会」が開催されました。主催は仙北市ふれあいの森推進協議会(写真は伊藤和彦会長のあいさつ)と市です。

 今回の作業林は、上桧木内の中泊地内です。地元の参加者20人、また首都圏からは、一晩夜行バスにゆられて参加したふるさと会や大学生など60人、そして秋田県や仙北東森林組合の皆さん(毎年指導者をお願いしています)20人の、合計100人を超える皆さんが汗を流しました。

 この森林作業体験交流会、平成12年にその起点となった「22世紀の森づくり事業(田沢湖畔潟前山森林公園内)」から数えて、今年で15回を迎えました。実は主催者側では、この15年間、ずっと森林作業中のケガを心配していました。それに15年前から参加をいただく方々も大勢いて、つまり15歳は年を重ねたわけで…。大きなケガなど出ないうちに、新たな交流プログラムをスタートさせようとの思いもあり、とても難しい判断だったのですが、今年でこのカタチの森林作業体験交流に幕を下ろすことにしました。

 これまで参加をいただいた皆さんには、感謝の一言しかありません。また秋田県、仙北東森林組合、市内各地で活動を支えてくれた地域の皆さん、また担当の農林部スタッフにはご難儀をおかけしました。本当にありがとうございました。

2014年6月27日金曜日

副市長に倉橋典夫さん

6月議会定例会が終わりました。初日に提案した議案、また本日の午前に追加提案した副市長選任の人事案など、全てについて可決・承認をいただきました。
 この3月に田邉浩之副市長が退任した後、不在となっていた仙北市副市長には倉橋典夫さん(写真)をお願いしました。倉橋さんは生保内字下手倉にお住まいで61才。平成25年3月まで仙北市役所に勤めていて、退職時には総務部長でした。温厚で思慮深くて、識見の高い判断には、在職中から助けてもらっていました。

 さて議会が終わる直前、議長から発言の許可をいただき、幾つかの報告をしました。項目でお知らせします。
1.昨日報道のあった広域市町村圏組合消防の飲み会での暴力行為について
2.市内で発生している遭難事故について(続報)
3.旧角館プラザホテル跡地の再開発について
4.雲然トレーニングセンターの漏電について
5.「桧木内地域支援体えがったなあ」の総務省事業の採択について

 旧角館プラザホテル跡地での再開発事業については、本日午後1時から市内で報道各社に対して事業発表が行われたはずです(私たちは議会本会議で出席できなかった…)。市としてありがたい事業ですが、報道各社への発表の前に、市民の皆さんへの説明を尽くして欲しかった思いが残ります。
 また桧木内のえがったなあは、出荷規格外の大豆を活用した味噌づくり加工所の整備や、特産品開発を行いながら、交流事業を活性化しようというもの。総務省から1000万円の交付金を受ける予定です。楽しみな事業です。

2014年6月25日水曜日

首都圏若杉・駒草の新入会員歓迎会

日曜日は、首都圏の若杉会(角館高校同窓会:島崎均会長)総会でした。毎年参加をさせていただき、仙北市の近況報告スピーチをしています。
 ところで写真は、若杉駒草合同懇親会・新入会員歓迎会の様子。つまり若杉会(角館高校同窓会)の総会が終了後、東京駒草会(角館南高校同窓会:能見京子会長)の皆さんと合流し、合同で新入生歓迎会を開催したというわけです。

 新入生歓迎会は、この春に角館高校や角館南高校を卒業し、首都圏で仕事に就いたり、学校に行ったりしている方々の激励会的な意味合いもあります。多くの新人がステージに上がり、「こんな仕事に就きました」、「念願の学校で勉強しています」など、皆さんからそれぞれの今を報告がありました。フロア席にいた○○年前の角校生・角南生から「ガンバレ!」の声援が飛びます。

 4月から統合校として再スタートした角館高校。懇親会では全員で角校校歌(第1校歌)と角南校歌(第2校歌)を歌いました。

2014年6月19日木曜日

小泉今日子さん

小泉今日子さんや中井貴一さんのテレビドラマ、「続・最後から2番目の恋」を楽しみにしています。そろそろ最終回だったかなあ。あんな長い台詞、パタパタとリズムの良い掛け合いは、「こりゃ、ほとんどがアドリブではないかしら…」と思いながら(でも実際は緻密な台本があるんでしょう)、「さすが同世代の出演者、その気持ち、分かる分かる」と納得したりして。

 その小泉今日子さん、実は直接お会いしたことがあります。今から30年ぐらい前、今はなき後楽園遊園地で、ミカン箱大のボックスの上に立ち、つまらなそうに「私の16才」を歌っていました。「あれは誰?」と思ったほどですから、デビュー間もない頃だったのでしょう。雨模様だったし、ミカン箱の周辺には自分しかいなかったし。

 歌い終えてミカン箱から降りて、休憩に入ろうとしたらしく、「小泉今日子です。よろしくお願いします」と、ほとんど独り言のような弱々しい声で自分に声をかけてくれて。その後ろ姿を見て、「この人、芸能人には向かないな」と思った記憶が甦ります。

 さてさてそれから30年、その間ヒット曲を連発し、トップアイドルに上りつめました。役者に転身し、今は素敵な大人の女優です。「いつ、どんなタイミングで人生にスイッチが入ったんだろう」、できたら、聞いてみたいです。

一般質問⑥黒沢龍己議員

Q:中川地区にある公共施設は、全て地下水を使っている。通年を通して安定的な供給を行うには、上水道の整備が必要だが、どうなっているのか。

A:1つずつお答えします。
(1)中川小学校への計画については、昨年度に県道日三市・角館線の本管からの給水方法について教育委員会と協議しています。
 小学校に至る経路については、本管から直接小学校まで給水管を布設することも検討しましたが、あまりに距離があり、市道若神子線を経由し周辺住宅をカバーした投資効率の高い配水管での計画としたいと考えています。
 しかし市道若神子線は、平成24年度に凍上災の補助を受けて舗装工事を実施したため、3年間の現状保全を要請されています。補助事業の導入が、結果として本事業推進の足かせになっていることは不合理な状況です。上部機関と協議のうえ早い時期に実施する手法を生み出したいと考えています。
(2)中川保育所、児童館方面については、
 翌年度、平成27年度に実施したいと考え準備を進めています。
(3)中川集落センターについては、
 水道ポンプが老朽化していることから、すみやかな水道給水管布設工事(新設)を予定しています。

一般質問⑤高久昭二議員

Q:「角館庁舎」の移転改築と「火除け復元」及び「本庁舎機能」を持つ庁舎建設についてを伺う。

A: 「角館庁舎」(老朽化、耐震化問題含む)の移転改築と「火除け復 元」及び「本庁舎機能」を持つ庁舎建設についてですが、現在、庁舎整備基本構想の核となる、統合庁舎の場所や整備手法等を選定するに当たっての、関連基礎データの収集、検討作業を進めている真っ最中です。この場で内容をしっかりとご答弁できない状況で、申し訳なく思っています。いずれ議員の皆様に素案をお示しし、ご協議いただきたいと思います。
 ご質問の角館庁舎の移転と統合庁舎の整備、並びに火除けの復原については、それぞれが互いに密接に関係する事案です。以前から柴田元町長の火除けについての思いなども、お話をお聞きできています。しかし、切り離して考えることはできません。こうしたことから、構想の中では、総合庁舎の整備のみならず、全ての庁舎の考え方も含むこととしています。
 角館庁舎移転等の方向性についてです。先の耐震診断調査の結果では、IS値が極端に低く、例え、耐震補強工事を実施したとしても、建物内部に増設耐震壁を設置しなければならない状況で、非常に使い勝手が悪く、庁舎としての機能や、市民の利便性を大きく損なうことが予想されます。当然、工事期間中は、仮設庁舎に事務室を移転しなければならないことなどを考え合わせれば、耐震補強工事を行い、今後も庁舎として利用するということは無理ではないかと思っています。
 このようなことから、現角館庁舎は取り壊しの方向で検討をしています。また、庁舎解体後の火除地については、角館の歴史的背景を大切に考えながら将来のあるべき姿など、地域の皆様のご意見、専門知識を有する方々のご意見をお伺いしながら、具体的なことについて検討を重ねたいと考えています。

一般質問④八柳良太郎議員

Q:桜まつりの改善すべき課題などについて、見えているののがあれば示して欲しい。

A:幾つかの改善を要する案件があります。これからお答えするものが全てというわけではありませんのでご了解ください。
① 駐車場
 駐車場については、桜まつり期間昨年同時期で、日中の普通車駐車台数が4千台ほど増えています。にもかかわらず大規模な渋滞が発生しなかったことは、民間駐車場の開設がその一翼を担っていただけていると分析をしています。今後も、マイカーで訪れる観光客の利便性と快適性を念頭に、民間駐車場開設者の皆様と協力関係を強固なものにしたいと思っています。
 また、町内への滞在時間延長を図るためにも、JR角館駅東駐車場構想を含め、駅方向から外町を通り、休憩を取りながら武家屋敷方向へと向かう人の流れをつくることができないか、検討しています。
② トイレについて
 昨年行われた秋田ディステネーションキャンペーンを契機に、観光客の皆様をお迎えする1つの視点として、公共施設・文化施設、公衆トイレなどで、シャワートイレ化を進めてきました。
 さくら祭り期間中の簡易トイレについては、昨年まで設置していたもので利用頻度の少ない箇所を移設した経緯もありますが、今一度、台数や利用頻度等を再考したいと考えています。トイレ清掃に関しては、再検討が必要な状況です。次回まで間に合うよう協議を重ねます。
③ 桧木内川堤の出店について
 今年の桜まつりの出店者は、24業者で昨年対比3業者の減となっています。出店については、実行委員会で取り決めている出店要項を遵守のうえ、出店申込書、営業従事者届けを提出していただき、審査、決定のうえ許可証を交付しています。出店の趣旨は、期間中観光客の利便と賑わいを創出するというものですが、角館の桜まつりの雰囲気を壊すことのないよう、また祭りに相応しい賑わいの演出をしていただけるよう、その景観や応接も含め指示徹底を図りたいと考えています。
④ 観光産業関連業者のサービスや意識向上について
 昨年の秋田ディステネーションキャンペーンでは、県民総参加の秋田おもてなし運動が展開されました。市内でも参加者が3300人を超え、観光関連業者だけではない、市民の皆様も巻き込んだおもてなしイベントが行われています。今回のさくら祭りでも同様に取り組んでいただいたことから、多くの観光客に好評でした。実際、桜まつり期間中の実行委員会へのクレームは、例年に比べて非常に少なかったことの報告を受けています。しかし、欲張っているわけではありませんが、まだまだ上を目指すことができる糊代があるとも受け止めています。今年の秋に開催される国民文化祭、また来シーズンから始まるモーグルの世界大会でも、引き続き、それ以上のおもてなしを心がけ、お客様をお迎えする準備を進めます。

一般質問③大石温基議員

Q:上水道未整備地の早期解消と、安全な水の管理を早急に進めて欲しいがどうか。

A:本市の水道事業で、未普及地域は、角館地区では山谷川崎、川原、雲然、白岩、薗田地区の一部、広久内、八割、下延地区の全域、田沢湖地区では小松、角館東前郷、岡崎、神代、梅沢地区の一部、卒田地区の全域となっています。西木地区は整備率100%です。市全体の整備率では75.1%となっています。私が市政公約で約束をした平成25年度末の達成率75%は、達成されている状況です。しかし未普及地域の解消対策をゆるめる気持ちは毛頭ありません。
 現在、国庫補助による未普及地区解消事業で、田中・八割地区・神代地区を、また単独事業で中川地区を整備中であり、整備率は今後も向上します。本年度は、田中・八割地区の整備として、県道本荘西仙北角館線などに配水管工事(約1,050m)を、以降、順次配水場工事及び配水管工事を予定しています。
 また、神代地区へ拡張のため、本年度は西明寺低区第2浄水場(浄水場土木工事、管理棟工事、機械・電気工事)、神代配水場工事(場内土木工事、配水池工事)、配水管工事(約1,600m)を行うほか、平成27年度には森ノ腰地区、平成28年度には国館、鎌川、院内方面の配水管工事を予定しています。
 未普及地区の解消は仙北市の大きな課題で、安全な水を安定的に等しく享受できることは、市民、とりわけ未普及地域で飲料水に困っている方々にとっての悲願です。
 今後も未普及地区の解消に向けて、年次計画の見直しも行いながら整備を進めますが、未普及地区は家屋が広範囲に分散していることから、投資に見合う収入がなかなか得にくい事態が予想されます。
 このことから料金収入による独立採算を原則とはするものの、生活安全や福祉的な要請も考慮に入れ、財政計画と投資計画の整合が図られた整備を実施していきたいと考えています。
 なお、田中・八割地区及び神代地区の継続の補助事業は、平成28年度に完了の予定です。中川地区の単独整備も逐次実施しながら、また、その後の整備計画についても水源の確保、事業認可を得て、国庫補助事業を活用して未普及地区の解消に努めたいと考えています。
 ところで、今後の水道事業の方向づけについて、この場で申し上げたいことがあります。
 市では、国からの要請により、現在の上水道事業と全ての簡易水道事業等を平成28年度までに統合し、「仙北市上水道事業」とする統合計画書を提出しています。
 この計画書には、料金統一、事業統合、会計統合が計画されていることもあり、皆様のご理解をいただきながら、平成25年度には料金統一を行いました。国からは、2つの上水道事業、13の簡易水道事業を統合するとともに、現在経営が分かれている公営企業会計と簡易水道特別会計を、公営企業会計に一本化し独立採算方式に近づけることを要請されています。
 現在、国では、事業統合や会計統合に向けた研究会からの報告を受け、この報告書に基づく具体作業等を提示し、事業主体に実施を促している状況です。
 また国は、「統合により上水道事業に取り込まれた簡易水道事業に対しては補助対象とする」としています。市では、一本化された上水道事業で未普及地区の解消を図ることを想定し、今後とも国の動向を注視しながら整備方針を定めたいと考えています。

一般質問②阿部則比古議員

Q:昨年7月に里山資本主義と言う本が発刊されて以来、全国で森林資源に対する関心が高まっている。国外などでの成功事例もあり、国内でもペレットストーブやボイラーは大分安価になってきた。いよいよ機が熟した。先進地のオーストリアなど、総合産業研究所に研修させてはどうか。

A:里山資本主義は、大変に興味深い経済概念・人間の暮らし方だと思います。この考え方を一言で言うと、「貨幣を介した等価交換のマネー資本主義」から、「貨幣換算できない物々交換」、つまり里山資本主義への社会全体の変質の提唱です。「大量生産・安定品質の規模の利益」から「個人個人がそれぞれの生き方を選択する贅沢」の享受へ、または「分業の徹底と成果品の流通」から「一人で何役も楽しむ人生の6次化」の進め、そんな受け止め方をしています。
 本書やNHK広島放送局が制作報道した「里山のチカラ」などで、度々登場する和田芳治(よしはる)さんは、エコストーブを全国に広める伝道師という立場で取り上げられていますが、実は和田さんは広島県総領町の教育長だった方で、「過疎を逆手にとる会」の会長も努めていました。私も個人的に「過疎を逆手にとる会(通称:カソサカ)」とのお付き合いがあって、その考え方に共感し活動していた時代もあります。今回の里山資本主義は、過疎地が未利用資源の宝庫と言う捉え方をして、自らの人生と周囲の人間関係を構築した方々の、実に30年以上にわたる活動がベースになっているものと感じます。
 ご指摘のオーストリアのギュッシング市を中心とした木質ペレット取り組みですが、これも大変に興味深い内容です。本書にも「里山のチカラ」にも登場している中島浩一郎さん(岡山県真庭市:銘建工業代表取締役)は、「新しい目線で山を見ることが大切です。山しかないと言う考え方を捨てると、山がエネルギーの宝庫に見えてくるはずです」と話しています。全くその通りです。その中島さんは、木材をエネルギー転換することと同時に、コンクリートに負けない、そして軽い(軽いと言うことは断熱力に優れている)新たな建材としてCLT(クロス・ラミネーテット・ティンバー)を活用する取り組みにも挑戦をしています。国土交通省での耐震テストでも良好な成績だったことから、高層階建築がこの新たな木材CLT(クロス・ラミネーテット・ティンバー)で実現する日がそう遠くないと思います。
 ところで仙北市内の木材関係者にお聞きすると、先を走る岩手県の現状では、ペレットの使用量は年々拡大をしているそうですが、その何倍ものスピードで薪需要が伸びているそうです。定時・定量使用が可能なペレットの優位性にも増して、薪需要が増えている要因の中には、ペレットの生産体制が追いついていないという現実もあるだろうと話していました。一方、林野庁では戦後に植栽したスギが既に伐採時期に入っていて、里山資本主義的に言うと「ニューノーマル(新しい普通)」層が増えることで、里山自体の価値が復興し、木材需要は再生可能エネルギーや新建材としての需要が伸びれば、再造林事業を振興できる目算も持っているようです。
 仙北市が先駆けて取り組んでいるバイオエネルギー関連事業は、この里山資本主義にある「金に換えることができない価値」の創出にも挑んできましたが、その価値を市民の皆さんに上手にお伝えできていないもどかしさを感じています。
 本書の執筆者の一人、藻谷浩介さんは、「仮に今のマネー資本主義的な繁栄がゆっくりと後退して行くようなことがあっても、里山資本主義的な要素を少しずつ取り入れていけば、生活はそんなに困ることはない」と言っています。
 ご指摘の事業に取り組むことが、根底に何を求めるのか、それはマネー資本主義的発想なのか、里山資本主義的発想なのか、成果は何に求めるのか、大いに議論したいと思います。必要となればオーストリアでもどこでも視察に伺い、市民の幸せづくりに労を厭わない覚悟です。

一般質問①田口寿宜議員

6月議会が開会中です。16日と17日の一般質問で、次のような議論がありました。ダイジェストでお知らせします。

【田口寿宜議員】
Q:人口減少問題は、既に予測されている事実だが、予測されている未来は必ず私たちの力で変えられるものと思う。産業振興と雇用対策をさらに充実して欲しい。特に市内の事業所にもっと厚い政策が必要だと思うがどうか。

A:先月、日本創成会議・人口減少問題検討分科会(増田寛也座長)は、「ストップ少子化・地方元気戦略」で、若年女性(20歳~30歳)の地域外流出などで平成52年には全国896の市区町村が消滅するという予測を発表しました。
 その対策として、
○第1に…、「国民の希望生率を実現すること」を上げています。子どもを産みたい人の希望を阻害する要因を除去すること(不妊対応・雇用環境の確保と改善など)。
○第2に…、東京一極集中を是正すること(災害リスクの分散・人口密度が高いほど出生率は低い現実)。
○第3に…、地方に魅力的な集積構造を新構築すること(若者に魅力のある地域拠点づくり)。
○その他…東京オリンピックの在り方(国際交流)や、中高年の地方移住、海外からの移民や人材の受け入れにも言及しています。
 また、これら政策の実施に必要な財源は、高齢世代が次世代の支援を行うイメージで確保したいこととし、分科会の苦悩も見て取ることができます。
 この日本創成会議の発表では、県内25市町村のうち実に24市町村が「消滅」することになっています。佐竹敬久知事も、同会議の増田寛哉座長と同じような視点から、「一番恐いのは、秋田も駄目になって東京も駄目になる。これ一番恐い。むしろ東京の方が心配です」と言う通り、自治体消滅の議論は、実は東京の都市機能強化の問題と表裏一体と言う捉え方が一般的です。
 考え方はいろいろあるかと思いますが、私はライフサイクルの循環起点を就業(職業従事)行為に置いています。「出会いや結婚、子育て、働き盛り期・高齢社会の対応」など、医療・教育・保健・介護・他、全ての行政サービスは、この仙北市で生活を始めることでスタートします。いつもお話をしている「定住の循環」、このサイクルをつくれるかどうかが、現実として人口減少を減少させる有効手段だと考えています。
 地元企業へもっと支援をとのご指摘ですが、平成22年の「物品調達・業務委託等の市内優先発注条例」を、23年には「産業振興基本条例」を、さらにこれらを基盤として細かな支援メニューと交付金制度を立ち上げ、それが実績に結びついた事業所も相当数あります。しかし財務規則を遵守することで、何としても市外の企業に業務を発注しなければならない場面、また第3セクターで必要な食糧品の調達で、市内業者から購入したくてもコストが折り合わないと言った場面…、様々な場面がやはりあります。

2014年6月10日火曜日

国民文化祭で共同記者会見

6月9日、平福記念美術館で国民文化祭偉業の共同記者会見を行いました。写真は、会見前に各報道機関の皆さんなどに披露された「ミュージカル“クニマスの色はいのち色”テーマ曲」を演奏する大木彩乃さん(市内在住のシンガーソングライター)。弾いているピアノは樺細工で甦った奇跡のピアノです。

 さて国民文化祭は10月4日から1ヶ月間、秋田県内の各市町村で各種の事業が開催されます。仙北市事業は下記の通りです。

《既計画分》
①民俗芸能の祭典(10月12日/わらび劇場・26日/JR角館駅前)
②秋田の文学(10月4日~11月3/日新潮社記念文学館学習資料館)
③佐藤貞子~秋田おばこ物語(10月25日/市民会館)
④アートdeまちあるき(10月17日~11月3日/角館市街)
⑤江戸に花開いた秋田の文学
  ・秋田蘭画展(10月4日~11月3日/平福記念美術館)
  ・佐竹北家時代展(9月20日~11月20日/樺細工伝承館)
  ・講演シンポジウム(10月5日/交流センター)
⑥田沢湖角館短歌大会
 ・歌碑めぐり(10月11日/市内各地)
  ・短歌大会及び記念講演(10月12日/市民会館)
⑦大正琴の祭典(10月18日~19日/市民会館)
⑧内陸線アート(10月4日~11月3日/沿線各地)
⑨せんぼく「餅っこ三昧」(10月26日/かたくり館)

《新規県民参加事業》
①愛・クニマス音楽と語りで綴る叙事詩(9月17日~18日/市民会館)
②もう1つの国民文化祭(10月5日・10月26日/グランデールガーデン)

 県民参加事業に採択された2つのうち、クニマス叙事詩は講演と語り・コンサート事業です。もう1つの国民文化祭は、通称:夜の国文祭で、お酒をいただきながらの会となります。

2014年6月8日日曜日

全国鳴砂サミットinたざわ湖

昨日と今日の2日間、全国鳴砂サミットinたざわ湖が開催されました。主催は全国鳴砂ネットワーク(代表幹事団体は京都府京丹後市、事務局は公益財団法人日本ナショナルトラスト)、共催は2014年全国鳴砂サミットinたざわ湖実行委員会(浅野慎太郎会長)です。

 全国各地の鳴砂(多くは海岸部)の復活と保全を目指し、全国ネットワークが構築されてから19年、現在は北海道から福岡まで21浜(19団体)が加盟していて、サミットは持ち回り方式で各地で開催されてきました。秋田県内では初の開催です。仙北市では、田沢湖ざっくばらんの会(田口寿宜代表)が田沢湖畔の清掃活動を続けていて、これら活動を核にサミットの開催を誘致していました。

 今日は研究発表と意見交換の場面です。思い出の潟分校を会場に、ざっくばらんの会から千葉薫さんが「田沢湖の水位変動の歴史と現状」、田沢湖クニマス会議からは三浦久さんが「田沢湖・クニマス~過去と未来」、さらに大阪市立大学大学院准教授の原口強さんが「田沢湖・白浜、鳴砂復活の処方箋」と題した講演と意見交換で、本当に重要な課題提起を幾つもいただくことができました。

 原口さんはその講演で、「現状に至った大きな要因は、田沢湖の水位の変動が大きいと思われます。この水位変動の縮小化はなかなか大変なテーマですが、一方で私たちが努力すれば、改善できることも幾つかあります。白浜の清掃と植物の除去、白浜に流入する水路の位置の変更、砂の洗浄など、行政と連携した活動が重要です」と話しました。本当にその通りです。特に岸側から筋状に湖に伸びている水路が、貴重な鳴砂を流出させているとの指摘は、初めての着眼でドッキリでした。鳴砂の復活が、田沢湖再生に向けた物語の大切な要素だったことを認識できたサミットです。

2014年6月6日金曜日

6月議会がスタートしました

本日から6月定例議会がスタートしました。議会冒頭で行った市政報告の内容を全文でお知らせします。

 はじめに、秋田駒ヶ岳の滑落事故及び救助についてです。
 6月1日の午後1時20分頃、南八幡平山岳会のメンバー数人が男岳鞍部分岐より馬場の小路へ下山途中滑落し、このうち仙北市田沢湖の女性2人(78歳と52歳)、男性1人(74歳)が負傷しました。
 消防を通じ防災ヘリの救助要請等を行い、消防や山岳会のメンバーが救助にあたりました。このうち、頭などを強く打った78歳の女性は、午後3時45分頃に防災ヘリで救助され、大曲厚生医療センターへ搬送されましたが、午後8時40分頃に死亡が確認されました。なお他の2人については、軽傷との報告を受けています。
 当日は駒ヶ岳の山開き行事が行われ、神事の後約350人が男岳へ登頂していました。時節柄、残雪による山岳事故が多発する恐れがあったので、注意喚起の手法の検討に入ろうとしていた矢先、翌2日の午前11時ごろ、盛岡市から来ていた男性(72歳)がほぼ同じ場所で転倒し、意識不明の状態で防災ヘリで救助され、大曲厚生医療センターに搬送されましたが、午後2時ごろ死亡が確認されています。大変残念に思います。ご冥福を心からお祈り申し上げます。
 なお、再発防止策としては、現場周辺での注意喚起看板の設置、安全安心メールの発信、羽後交通のバス車両内での掲示などを行っています。改めて再発防止に全力であたります。

 次に、大規模肥育牛団地での肥育牛の出荷についてです。
 秋田県・JA等関係団体と連携し、畜産振興と高付加価値農業への転換を目的に誘致した「秋田仙北夢牧場株式会社」ですが、ここで飼育された肥育牛(交雑種28頭)が、6月3日に秋田市及び横浜市の市場へ初出荷されました。
 BSE等衛生検査を受けたのち食肉処理され、両市場とも本日(6日)、枝肉等級格付後にセリにかけられる予定です。
  今後は今年12月まで毎月約30頭ペースで出荷し、その後はあきた総合家畜市場から導入した黒毛和種に切り替わり、27年6月から出荷の見込みです。

 次に、「仙北市災害連絡室」の廃止についてです。
 大雪による雪害警戒と災害情報の収集のため、1月15日に設置した「仙北市災害連絡室」は、その危険性が極めて低くなったことから、5月12日午前9時をもって廃止しました。

 次に、一般会計補正予算についてです。
 補正額は、2億471万7千円で、これに既定予算を加えると、補正後の額は183億5,664万1千円となります。
 主な事業は、生活困窮者自立支援制度施行円滑化事業費、温泉郷魅力向上人材育成事業費、森林整備地域活動支援交付金事業費、企業誘致対策事業費、田沢湖一般廃棄物最終処分場搬入路整備事業費、コミュニティ助成事業費、FISフリースタイルスキーワールドカップ秋田たざわ湖大会負担金です。
 また地方債補正が1件、債務負担行為の追加が2件あります。よろしくご審議くださいますようお願いします。

 なお、平成25年度の一般会計決算見込み及び市税関係については、5月31日の出納閉鎖後の最終確認等が必要なことから、本日現在は報告できるデータ等の整理が整っていません。本定例会の常任委員会にて報告しますので、ご理解をお願いします。

 次に、各部局等の主要事項並びに諸般の状況を報告します。

【総務部】
◇公会計制度について
 一般質問等で、平成26年度中の公表をお答えしていた地方公会計の整備についてです。これまで本市では総務省改訂モデルで財務書類を作成する準備を進めてきました。しかし、改訂モデルでは固定資産台帳の整備が必ずしも前提とされていないことや、様々な方式が混在している実態から、他の団体との比較が困難という欠点を内包していたことも事実です。このような課題の解消に向け、平成22年9月、総務省は「今後の新地方公会計の推進に関する研究会」を立ち上げましたが、その成果と言える報告書がまとまり、この4月30日に公表となっています。
 この報告書については、先ごろ(5月16日)開催の東北市長会でも総務省担当者から説明がありました。統一的な基準での財務書類等の作成については、今後具体的な要綱等を作成し、改めて平成27年1月を目途に示すとのことで、今後は統一的な基準による財務諸表の作成が、国から要請されるルールに変わることになります。従って26年度中の公表が、次年度以降にずれ込むスケジュールとなりますのでご理解をお願いします。

◇まちづくり懇談会について
  市民の皆様と話し合い、今後のまちづくりにご意見をいただく「まちづくり懇談会」(通称:まちこん)を、5月19日に桧木内公民館、20日に角館交流センター、25日に田沢湖総合開発センター、26日に西長野交流センターで開催し、4会場で79人の参加をいただきました。
 今回から各地区ごとのテーマを設けたことで議論が活発化し、率直な意見や将来に向けた提言など、多くの収穫がありました。これらを大切に受け止め、今後の市政運営に反映させたいと考えています。

◇事務事業の移転について
 事務事業の移転については、今年度総務課に事務事業移転室を新たに設け、作業を進めています。
 担当する職務は、業務の民間等への委託推進・行財政改革・指定管理者制度・事務事業評価に関すること等です。現在は市立保育園・幼稚園の法人化計画に関することや、直営市民バスの運行システムの改善について取り組んでいます。
 その他の事務事業についても、より効果が期待できる新たな仕組みづくりを目指し、既成概念にとらわれない発想で作業を進めるよう指示をしています。スピード感を大切に進めたいと思います。

◇姉妹都市提携交流35周年記念式典について
 去る5月29日、長崎県大村市で姉妹都市提携交流35周年記念式典が行われました。仙北市からは、姉妹都市提携以来、民間交流を続けてこられた角館町戊辰会を中心に、青柳議長、荒木田副議長や日本民謡協会秋田仙北会の皆様にご同行をいただき、総勢36人の訪問団を組織して出席しました。
 300人余りの大村市民の皆様から、熱烈な歓迎でお出迎えをいただいた記念式典では、経済文化交流、友好親善に多大な貢献をされた3団体に対して大村市と仙北市の両市から感謝状を贈呈したほか、角館町戊辰会の熊谷佳穹会長と大村市富松神社宮司の久田松和則(くだまつかずのり)氏による記念講演が行われ、姉妹都市提携の背景にある戊辰戦争と両市にまつわる貴重なお話をしていただきました。
 今後も両市市民に積極的に交流事業に参加いただき、お互いの親睦の絆を深めていきたいと思います。

◇田沢湖調査事業について
 6月2日、国立大学法人秋田大学に「田沢湖湖底研究所」が設置されました。研究所の設置は、田沢湖の湖水・堆積物を採取し、田沢湖の湖水・堆積物の地球科学的特徴を明らかにし、水質形成機構の解明や環境保全のための基礎データを得ることと、併せて、得られた知見を講演会等の広報活動を通じて地域へ還元することを目的とするものです。
 田沢湖の調査によって得られる様々なデータは、田沢湖再生のための具体的な手段を構築するための貴重な資料になるとともに、市民をはじめ、広く内外に田沢湖再生の必要性と理解を深めていただける等、大きな成果が期待されます。
 現在、仙北市として秋田大学と連携を図り、同大学との共同事業の実施を検討しています。

◇消防団に係る無償貸付車両等について
 昨年度、消防庁へ申請していた救助資機材搭載型小型消防ポンプ積載車の無償貸付が採択となりました。車両受渡は10月頃の予定です。

◇遭難及び山菜採り事故防止の啓発について
 本市では、年間5万人を超える皆様が「登山」や「山菜採り」を楽しんでいます。しかし毎年多くの山岳事故が発生している現実があります。
 夏山登山や山菜採りの本格シーズンを迎えることから、5月26日に「仙北市遭難対策会議」を開催し、関係機関や団体との連携・協力を確認しました。
 また、秋田駒ヶ岳の火山活動について、火山噴火予知連絡会では、直ちに噴火する兆候は認められないという見解が示されました。

【市民生活部】
◇国民健康保険事業について
 国民健康保険事業については、平成23年に策定した「仙北市国民健康保険事業運営安定化計画」に基づき、財政の健全化を進めています。平成25年度の決算は、交付金の大幅な減少等により単年度収支では赤字決算となる見込みです。
 平成25年度から段階的に実施し、今年度2年目に入っている資産割を所得割へ移行する賦課方式の変更では、市議会や国保運営協議会の意見を伺いながら国保税率の改正をお願いしていますが、平成27年度には、応能割を所得割に一本化したいと考えています。
 国保税率の改正にあたっては、市内の経済状況や市民の税負担感等を考慮し、現時点の試算で、一人当たり課税額が、平成25年度とほぼ同額となるよう配慮します。
 なお、税率の改正案については、5月26日「仙北市国民健康保険運営協議会」に諮問し、承認をいただいています。この承認に基づき、国民健康保険税条例の一部を改正する条例を本定例会に提案していますので、ご審議をよろしくお願いします。

【福祉保健部】
◇仙北市子育て支援拠点事業の実施について
 仙北市子育て支援拠点事業は、親子が気軽に集い、交流しながら子育ての不安や負担の解消を図るための新たな委託事業です。市内で待機児童解消の受け皿として活躍をいただく子育てボランティア団体「はっぴぃ・マム」に事業を委託し、6月4日からスタートしました。
 これにより、仙北市子育て支援施設「さくラッコ」で行う「親子の広場」の利用料金が無料になります。また、人件費などの事業経費や施設維持管理費は市の持ち分となります。同団体の負担が軽減できたことで、さらなる活動の充実を期待しています。

【農林部】
◇農地・水保全管理支払交付金事業の取り組みについて
 昨年度までの「農地・水保全管理支払交付金事業」は、今年度から農業の多面的機能の維持・発揮のための地域活動や営農活動に対して支援する「日本型直接支払制度」に改まり、再スタートしています。
 新たに創設された「農地維持支払い」は、多面的機能を支える共同活動への支援ですが、主に担い手に集中する水路・農道等の管理を地域で支え、農地集積を後押しする役割を担っています。
 また、農地・水保全管理支払交付金からの組み替えで、地域資源(農地、水路、農道等)の質的向上と共同活動への支援を「資源向上支払い」と名称を変え取り組みます。市内では同事業に前事業からの継続地区が38組織、新規取組予定地区が11組織、計49組織です。面積的には市内全水田面積の7割をカバーすることになります。本定例会に関係経費を計上しましたのでご審議をよろしくお願いします。

◇農地集積・集約化について
 今年度、農地の集積・集約を円滑に実施することを目的に、新たに「農地中間管理機構」が創設され、これに伴う農地中間管理機構業務の窓口業務を、公益社団法人秋田県農業公社より仙北市地域農業再生協議会が業務委託を受け、事業を行うことになりました。

【建設部】
◇地域高規格道路「大曲鷹巣道路」整備について
 大曲鷹巣道路については、これまでも地域高規格道路の早期整備着手などを前面に、期成同盟会という広域組織で各関係機関へ要望活動を行ってきました。
 加えて新たに、秋田県の積極的な政策推進をいただき、この2月から、県や関係市町村合同で現地視察・勉強会が開催されています。さらに5月19日、桧木内公民館で開催したまちづくり懇談会では、同線の高速化についてテーマを絞り込み、市民の積極的参加をお約束いただきました。
 今後は秋田県・関係市町村との連携を加速し、勉強会・市民フォーラム等を開催し気運を高めたいと思います。議会の皆様の特段のご理解をお願いします。

◇市道造道石神線「石神橋」の通行規制について
 平成26年度の橋梁点検において、石神橋の右岸橋脚上部に不具合が判明し、当分の間片側交互通行の規制を行っています。現在、詳細を調査し今後の方針を検討中ですが、応急工事等が必要と思われますので、議会の皆様の特段のご理解をお願いします。
◇先達地区砂防事業について
 昨年8月の豪雨に伴う土石流により被災した先達地区で、国土交通省湯沢河川国道事務所が「供養佛沢砂防堰堤」の築堤工事を施行していますが、6月29日、湯沢河川国道事務所、秋田県、仙北市の共催による主堰堤本体工の完成式を実施する予定です。

【企業局】
◇平成25年度決算の概要について
 水道事業会計及び温泉事業会計について、平成25年度決算の概要を報告します。
 水道事業は、事業収益が3億2,851万6千円、事業費用が3億2,524万9千円で、当年度純利益は326万7千円です。前年度と比較すると1,228万8千円の減となっています。
 平成25年度は、8月9日の豪雨による災害発生や観光客の落ち込み、また夏場の低温傾向で、使用水量が前年度比3.0%の減と落ち込み、経営に大きく影響したと分析をしています。昨年7月から実施した料金統一での収益概況は、新旧料金比較で0.3%の減と、僅かな影響に留まっています。
 給水人口の減少など主要因から推測すれば、将来的な給水収益の伸びを期待することは困難ですが、水道への加入促進と効率的な経営で健全財政の維持に努力を傾注します。
 温泉事業は、事業収益3,154万3千円、事業費用3,108万7千円で、当年度純利益は45万6千円です。前年度と比較すると純利益で430万9千円の減になりました。
 供給戸数の減少や、安定供給のために加温措置を施したことなどで、厳しい経営状況が続いています。現状の課題改善に向け対応しなければいけないこと、将来の安定供給に向けて進めなければいけない事業など、議会の皆様や関係者と、できる限り早期にしっかり議論したいと考えています。

【医療局】
◇平成25年度決算見込みについて
 市立田沢湖病院は、外来患者数の合計が3万347人、前年度より1,592人の減少となっています。入院病棟は、これまでの「障害者施設等一般病棟」を継続し、病床利用率の向上に努めてきました。しかし、入院患者数は1万7,031人で、前年度より1,281人の減少という結果です。
 外来患者並びに入院患者の減少で、医業収益が減益となることから、職員給与費を含む経費の削減に精一杯努力してきましたが、結果的に純損失1億141万4千円を計上することとなりました。
 市立角館総合病院は、外来延患者数が14万5,156人、入院延患者数が7万9,581人で、前年度に比べ外来患者は増加しましたが、入院患者は減少しています。経常損益は、前年度と比較し5,388万6千円の減益で、結果的に5,912万8千円の純損失を計上することとなりました。職員給与費、材料費等経費の削減に努めた結果、事業費用では減少となりましたが、事業収益では外来患者が増となったものの、入院患者の大幅な減少で医業収益が減少したと分析をしています。
 医療局は、人件費や事務費等の執行で、3,240万1千円の純損失を計上することになりました。医療局は経営上は直接的な収益をもたらす機関ではないので、このような決算となりましたが、今年度から一般会計から一定の支援を行い、事業費用と累積欠損金の解消に向け取り組んでいる現状です。

◇平成26年度の診療体制について
 市立田沢湖病院は、3月末で医師1人が退職し、その後任に4月から自治医科大学出身の秋田県職員医師が就任しています。
 医療を取り巻く環境は依然として厳しい状況ですが、本年度も引き続き市民へ良質な医療を安定的かつ継続的に提供することを目的に、常勤医師3人に加え、秋田大学、岩手医科大学、県立脳血管研究センターのほか、他の医療機関からも非常勤医師の派遣をいただきながら、診療体制の充実と質の向上、併せて積極的な経営改善に努力します。
 市立角館総合病院は、平成26年3月末で医師4人が退職し、4月より総合診療科へ3人、消化器内科2人、外科1人、産婦人科1人、精神科1人の常勤医が赴任し診療にあたっています。特に総合診療科医師が1人から3人となり、より充実した診療体制となっています。また、基幹型臨床研修病院として、昨年度は常勤の研修医が不在でしたが、今年度は前期研修2年目の臨床研修医が常勤の研修医として研修にあたっています。
 来年度以降の常勤医の医師確保では、診療内容の充実を図る上で医療局を中心に医師確保に向け努力を傾注します。さらに病院経営にあたっても、経営改善に努め、市民への充実した医療サービスを提供し、安心して治療が受けられるようなお一層努めます。

◇市立角館総合病院改築事業について
 市立角館総合病院建築事業費について、基本設計終了後に見込みを上回る労務費及び材料費等の高騰で工事見積額が上昇しています。そのため工事仕様内容等の見直しを進めてきましたが、中核病院・災害拠点病院としての役割を果たすために、工事費の増額が避けられない状況となっています。
 そのため、継続費の増額に伴う「仙北市病院事業会計補正予算」を上程しています。ご審議をよろしくお願いします。

 以上、主要事項並びに諸般の報告を申し上げました。本定例会に提案している案件は報告関係5件、条例関係1件、予算関係5件、契約関係1件、人事関係2件、その他1件、諮問関係1件の計16件です。
 慎重審議の上、全議案についてご可決を賜りますようお願い申し上げ、市政報告とします。

※なお人事関係の審議は本日で終え、田沢財産区管理会委員に千田博夫さん(再任)、浦山清悦さん(再任)、人権擁護委員に清水力さん(再任)で、それぞれご同意をいただきました。

合併後の財政状況

先日のまちこん(まちづくり懇談会)のある会場で、「仙北市は箱モノを建てる事業ばかりが目につくし、そのため借金(起債)を乱発し、財政状況は年を追う毎に悪化している」とのご意見をいただきました。この時点で、「そのようなことはありません。そもそも自分が着任してから箱モノはほとんどないし、合併時と比べて財政状況は改善していますよ」とお答えしましたが、しっかりとした数値での説明ができなかったので、改めてお知らせをします。

 一般的には、自治体の財政状況を示す幾つかの数値があって(もちろん全国共通)、他団体との比較や客観性を保っています。歳入(市の収入)の額や、歳出(市の支出)の額、その差引額などは、年ごとに事業の多少があることから、これで財政状況を判断することはできません。
 今回はよく使用される代表的な数値、①経常収支比率、②実質公債費比率、③積立金現在高、④市民一人あたりの公債費負担額、⑤財政力指数、この5つで説明をします。なお最新数値(平成25年度決算)と比較できれば良かったのですが、25年度決算は未だ出ていないことから、最新数値(平成24年度)との比較になりました。ご了承ください。

①経常収支比率:自治体の財政状況の柔軟度を表す指標です。人件費や社会保障費、借金の返済に必要な経費などが、どれくらい経常的に必要となっているかを示しています。数値が高ければ高いほど、財政が硬直化していることになります。
        平成17年度→95.3
        平成24年度→91.0

②実質公債費比率:以前は公債費比率、または起債制限比率という指標がありましたが、現在は実質公債費比率という指標で財政状況を判断しています。自治体には幾つもの会計がありますが、この実質公債費比率は連結決算の考え方を導入していることが特徴です。簡単に言えば、18%を超えると起債の発行時にハードルが一段上がり(難しくなり)、25%を超えると単独事業の起債を認めてもらえない事態となります。
                平成17年度→19.2%
       平成24年度→15.1%

③積立金現在高:皆さんの家庭の貯金と同じ考え方です。貯金があれば生活も潤い、心情的にもゆとりが生まれます(基金名:財政調整基金・減債基金・特定目的基金など)。
                平成17年度→14億5300万円
                平成24年度→37億9600万円

④市民一人あたりの公債費負担率:赤ちゃんからお年寄りまで、市の借金を総数で除して算出した金額です。
                平成17年度→87万円
                平成24年度→78万円

⑤財政力指数:通常は過去3ヶ年度の指数の平均値で比較します。1に近づくほど、財政基盤が盤石と判断します。
                平成17年度→0.287
                平成24年度→0.246

 これらの比較で、だいたいの仙北市の財政状況がお分かりいただけたかと思います。財政力指数が悪化しているのは、地方交付税の額が削減され続けていることが要因と考えられますが、他の指数は数値は大きく改善されていることがお分かりいただけるかと思います。しかし安心できるレベルには達していません。今後もさらに財政状況の改善に努めます。

Yes We Can

6月3日~4日は、都内で全国市長会でした。会長は新潟県長岡市長の森民夫さん(写真)です。森さんはあいさつで次のようなお話をしました。「都道府県というフィルターを通すことなく、市区町村が国と直接関係して事業を行う場面が増えています。この流れをさらに進めたいと思っています」。

 また総務大臣の新藤義孝さんは、「この国を元気にする取り組みは、決して政府だけの仕事ではありません。国民の皆さんが総参加で取り組む必要があります。地域を活性化する方法は、1718の市区町村の数だけあるはずです。小さな自治体でも、確かに人口の自然減はありますが、社会増を成し遂げた町や村が実際に存在します。チャンスは必ずあります。共に頑張りましょう」とあいさつがありました。

 お二人の言葉は、別々なようでかなり似ていると感じました。それは共に能動的であると言うこと。森さんは全国市長会長として、総理と直接意見交換の場をつくったり、国の各機関への要望活動を活発化させています。行政サービスのスピード感を大切に考えての行動だと感じます。新藤さんはごあいさついを聞いていて、胸が熱くなりました。私たちもできる、挑戦する気持ちを前進力に変えよう、Yes We Canだと。そうだ、その通りだ!

ご冥福とご回復を

6月1日の駒ヶ岳山開きで、とても悲しい事故が起こりました。市内山岳会のメンバーのお1人が雪渓を滑落し、お亡くなりになってしまいました。ケガをされた方も2人いて、どんなに山歩きに慣れていても、こんな恐ろしいことが起こるんだと思い知らされました。亡くなられた方のご冥福と、ケガをされた方々の回復を心からお祈りします。

 さらに6月2日、ほぼ同じ場所で盛岡市からお出での方がお亡くなりになりました。危険箇所への看板設置など検討していた矢先の出来事でした。本当に残念です。ご冥福をお祈りします。

 さらに6月4日、西木温泉クリオンのバスがお客様を送迎中に事故に遭い、9人の方々が秋田市内の病院に搬送されました。もらい事故とは言え、お客様にケガがあったのですから、申し訳ない思いでいっぱいです。ケガの回復をお祈りします。

 6月に入り、予期しない出来事が続いています。皆さん充分にお気を付けて。