本日から6月定例議会がスタートしました。議会冒頭で行った市政報告の内容を全文でお知らせします。
はじめに、秋田駒ヶ岳の滑落事故及び救助についてです。
6月1日の午後1時20分頃、南八幡平山岳会のメンバー数人が男岳鞍部分岐より馬場の小路へ下山途中滑落し、このうち仙北市田沢湖の女性2人(78歳と52歳)、男性1人(74歳)が負傷しました。
消防を通じ防災ヘリの救助要請等を行い、消防や山岳会のメンバーが救助にあたりました。このうち、頭などを強く打った78歳の女性は、午後3時45分頃に防災ヘリで救助され、大曲厚生医療センターへ搬送されましたが、午後8時40分頃に死亡が確認されました。なお他の2人については、軽傷との報告を受けています。
当日は駒ヶ岳の山開き行事が行われ、神事の後約350人が男岳へ登頂していました。時節柄、残雪による山岳事故が多発する恐れがあったので、注意喚起の手法の検討に入ろうとしていた矢先、翌2日の午前11時ごろ、盛岡市から来ていた男性(72歳)がほぼ同じ場所で転倒し、意識不明の状態で防災ヘリで救助され、大曲厚生医療センターに搬送されましたが、午後2時ごろ死亡が確認されています。大変残念に思います。ご冥福を心からお祈り申し上げます。
なお、再発防止策としては、現場周辺での注意喚起看板の設置、安全安心メールの発信、羽後交通のバス車両内での掲示などを行っています。改めて再発防止に全力であたります。
次に、大規模肥育牛団地での肥育牛の出荷についてです。
秋田県・JA等関係団体と連携し、畜産振興と高付加価値農業への転換を目的に誘致した「秋田仙北夢牧場株式会社」ですが、ここで飼育された肥育牛(交雑種28頭)が、6月3日に秋田市及び横浜市の市場へ初出荷されました。
BSE等衛生検査を受けたのち食肉処理され、両市場とも本日(6日)、枝肉等級格付後にセリにかけられる予定です。
今後は今年12月まで毎月約30頭ペースで出荷し、その後はあきた総合家畜市場から導入した黒毛和種に切り替わり、27年6月から出荷の見込みです。
次に、「仙北市災害連絡室」の廃止についてです。
大雪による雪害警戒と災害情報の収集のため、1月15日に設置した「仙北市災害連絡室」は、その危険性が極めて低くなったことから、5月12日午前9時をもって廃止しました。
次に、一般会計補正予算についてです。
補正額は、2億471万7千円で、これに既定予算を加えると、補正後の額は183億5,664万1千円となります。
主な事業は、生活困窮者自立支援制度施行円滑化事業費、温泉郷魅力向上人材育成事業費、森林整備地域活動支援交付金事業費、企業誘致対策事業費、田沢湖一般廃棄物最終処分場搬入路整備事業費、コミュニティ助成事業費、FISフリースタイルスキーワールドカップ秋田たざわ湖大会負担金です。
また地方債補正が1件、債務負担行為の追加が2件あります。よろしくご審議くださいますようお願いします。
なお、平成25年度の一般会計決算見込み及び市税関係については、5月31日の出納閉鎖後の最終確認等が必要なことから、本日現在は報告できるデータ等の整理が整っていません。本定例会の常任委員会にて報告しますので、ご理解をお願いします。
次に、各部局等の主要事項並びに諸般の状況を報告します。
【総務部】
◇公会計制度について
一般質問等で、平成26年度中の公表をお答えしていた地方公会計の整備についてです。これまで本市では総務省改訂モデルで財務書類を作成する準備を進めてきました。しかし、改訂モデルでは固定資産台帳の整備が必ずしも前提とされていないことや、様々な方式が混在している実態から、他の団体との比較が困難という欠点を内包していたことも事実です。このような課題の解消に向け、平成22年9月、総務省は「今後の新地方公会計の推進に関する研究会」を立ち上げましたが、その成果と言える報告書がまとまり、この4月30日に公表となっています。
この報告書については、先ごろ(5月16日)開催の東北市長会でも総務省担当者から説明がありました。統一的な基準での財務書類等の作成については、今後具体的な要綱等を作成し、改めて平成27年1月を目途に示すとのことで、今後は統一的な基準による財務諸表の作成が、国から要請されるルールに変わることになります。従って26年度中の公表が、次年度以降にずれ込むスケジュールとなりますのでご理解をお願いします。
◇まちづくり懇談会について
市民の皆様と話し合い、今後のまちづくりにご意見をいただく「まちづくり懇談会」(通称:まちこん)を、5月19日に桧木内公民館、20日に角館交流センター、25日に田沢湖総合開発センター、26日に西長野交流センターで開催し、4会場で79人の参加をいただきました。
今回から各地区ごとのテーマを設けたことで議論が活発化し、率直な意見や将来に向けた提言など、多くの収穫がありました。これらを大切に受け止め、今後の市政運営に反映させたいと考えています。
◇事務事業の移転について
事務事業の移転については、今年度総務課に事務事業移転室を新たに設け、作業を進めています。
担当する職務は、業務の民間等への委託推進・行財政改革・指定管理者制度・事務事業評価に関すること等です。現在は市立保育園・幼稚園の法人化計画に関することや、直営市民バスの運行システムの改善について取り組んでいます。
その他の事務事業についても、より効果が期待できる新たな仕組みづくりを目指し、既成概念にとらわれない発想で作業を進めるよう指示をしています。スピード感を大切に進めたいと思います。
◇姉妹都市提携交流35周年記念式典について
去る5月29日、長崎県大村市で姉妹都市提携交流35周年記念式典が行われました。仙北市からは、姉妹都市提携以来、民間交流を続けてこられた角館町戊辰会を中心に、青柳議長、荒木田副議長や日本民謡協会秋田仙北会の皆様にご同行をいただき、総勢36人の訪問団を組織して出席しました。
300人余りの大村市民の皆様から、熱烈な歓迎でお出迎えをいただいた記念式典では、経済文化交流、友好親善に多大な貢献をされた3団体に対して大村市と仙北市の両市から感謝状を贈呈したほか、角館町戊辰会の熊谷佳穹会長と大村市富松神社宮司の久田松和則(くだまつかずのり)氏による記念講演が行われ、姉妹都市提携の背景にある戊辰戦争と両市にまつわる貴重なお話をしていただきました。
今後も両市市民に積極的に交流事業に参加いただき、お互いの親睦の絆を深めていきたいと思います。
◇田沢湖調査事業について
6月2日、国立大学法人秋田大学に「田沢湖湖底研究所」が設置されました。研究所の設置は、田沢湖の湖水・堆積物を採取し、田沢湖の湖水・堆積物の地球科学的特徴を明らかにし、水質形成機構の解明や環境保全のための基礎データを得ることと、併せて、得られた知見を講演会等の広報活動を通じて地域へ還元することを目的とするものです。
田沢湖の調査によって得られる様々なデータは、田沢湖再生のための具体的な手段を構築するための貴重な資料になるとともに、市民をはじめ、広く内外に田沢湖再生の必要性と理解を深めていただける等、大きな成果が期待されます。
現在、仙北市として秋田大学と連携を図り、同大学との共同事業の実施を検討しています。
◇消防団に係る無償貸付車両等について
昨年度、消防庁へ申請していた救助資機材搭載型小型消防ポンプ積載車の無償貸付が採択となりました。車両受渡は10月頃の予定です。
◇遭難及び山菜採り事故防止の啓発について
本市では、年間5万人を超える皆様が「登山」や「山菜採り」を楽しんでいます。しかし毎年多くの山岳事故が発生している現実があります。
夏山登山や山菜採りの本格シーズンを迎えることから、5月26日に「仙北市遭難対策会議」を開催し、関係機関や団体との連携・協力を確認しました。
また、秋田駒ヶ岳の火山活動について、火山噴火予知連絡会では、直ちに噴火する兆候は認められないという見解が示されました。
【市民生活部】
◇国民健康保険事業について
国民健康保険事業については、平成23年に策定した「仙北市国民健康保険事業運営安定化計画」に基づき、財政の健全化を進めています。平成25年度の決算は、交付金の大幅な減少等により単年度収支では赤字決算となる見込みです。
平成25年度から段階的に実施し、今年度2年目に入っている資産割を所得割へ移行する賦課方式の変更では、市議会や国保運営協議会の意見を伺いながら国保税率の改正をお願いしていますが、平成27年度には、応能割を所得割に一本化したいと考えています。
国保税率の改正にあたっては、市内の経済状況や市民の税負担感等を考慮し、現時点の試算で、一人当たり課税額が、平成25年度とほぼ同額となるよう配慮します。
なお、税率の改正案については、5月26日「仙北市国民健康保険運営協議会」に諮問し、承認をいただいています。この承認に基づき、国民健康保険税条例の一部を改正する条例を本定例会に提案していますので、ご審議をよろしくお願いします。
【福祉保健部】
◇仙北市子育て支援拠点事業の実施について
仙北市子育て支援拠点事業は、親子が気軽に集い、交流しながら子育ての不安や負担の解消を図るための新たな委託事業です。市内で待機児童解消の受け皿として活躍をいただく子育てボランティア団体「はっぴぃ・マム」に事業を委託し、6月4日からスタートしました。
これにより、仙北市子育て支援施設「さくラッコ」で行う「親子の広場」の利用料金が無料になります。また、人件費などの事業経費や施設維持管理費は市の持ち分となります。同団体の負担が軽減できたことで、さらなる活動の充実を期待しています。
【農林部】
◇農地・水保全管理支払交付金事業の取り組みについて
昨年度までの「農地・水保全管理支払交付金事業」は、今年度から農業の多面的機能の維持・発揮のための地域活動や営農活動に対して支援する「日本型直接支払制度」に改まり、再スタートしています。
新たに創設された「農地維持支払い」は、多面的機能を支える共同活動への支援ですが、主に担い手に集中する水路・農道等の管理を地域で支え、農地集積を後押しする役割を担っています。
また、農地・水保全管理支払交付金からの組み替えで、地域資源(農地、水路、農道等)の質的向上と共同活動への支援を「資源向上支払い」と名称を変え取り組みます。市内では同事業に前事業からの継続地区が38組織、新規取組予定地区が11組織、計49組織です。面積的には市内全水田面積の7割をカバーすることになります。本定例会に関係経費を計上しましたのでご審議をよろしくお願いします。
◇農地集積・集約化について
今年度、農地の集積・集約を円滑に実施することを目的に、新たに「農地中間管理機構」が創設され、これに伴う農地中間管理機構業務の窓口業務を、公益社団法人秋田県農業公社より仙北市地域農業再生協議会が業務委託を受け、事業を行うことになりました。
【建設部】
◇地域高規格道路「大曲鷹巣道路」整備について
大曲鷹巣道路については、これまでも地域高規格道路の早期整備着手などを前面に、期成同盟会という広域組織で各関係機関へ要望活動を行ってきました。
加えて新たに、秋田県の積極的な政策推進をいただき、この2月から、県や関係市町村合同で現地視察・勉強会が開催されています。さらに5月19日、桧木内公民館で開催したまちづくり懇談会では、同線の高速化についてテーマを絞り込み、市民の積極的参加をお約束いただきました。
今後は秋田県・関係市町村との連携を加速し、勉強会・市民フォーラム等を開催し気運を高めたいと思います。議会の皆様の特段のご理解をお願いします。
◇市道造道石神線「石神橋」の通行規制について
平成26年度の橋梁点検において、石神橋の右岸橋脚上部に不具合が判明し、当分の間片側交互通行の規制を行っています。現在、詳細を調査し今後の方針を検討中ですが、応急工事等が必要と思われますので、議会の皆様の特段のご理解をお願いします。
◇先達地区砂防事業について
昨年8月の豪雨に伴う土石流により被災した先達地区で、国土交通省湯沢河川国道事務所が「供養佛沢砂防堰堤」の築堤工事を施行していますが、6月29日、湯沢河川国道事務所、秋田県、仙北市の共催による主堰堤本体工の完成式を実施する予定です。
【企業局】
◇平成25年度決算の概要について
水道事業会計及び温泉事業会計について、平成25年度決算の概要を報告します。
水道事業は、事業収益が3億2,851万6千円、事業費用が3億2,524万9千円で、当年度純利益は326万7千円です。前年度と比較すると1,228万8千円の減となっています。
平成25年度は、8月9日の豪雨による災害発生や観光客の落ち込み、また夏場の低温傾向で、使用水量が前年度比3.0%の減と落ち込み、経営に大きく影響したと分析をしています。昨年7月から実施した料金統一での収益概況は、新旧料金比較で0.3%の減と、僅かな影響に留まっています。
給水人口の減少など主要因から推測すれば、将来的な給水収益の伸びを期待することは困難ですが、水道への加入促進と効率的な経営で健全財政の維持に努力を傾注します。
温泉事業は、事業収益3,154万3千円、事業費用3,108万7千円で、当年度純利益は45万6千円です。前年度と比較すると純利益で430万9千円の減になりました。
供給戸数の減少や、安定供給のために加温措置を施したことなどで、厳しい経営状況が続いています。現状の課題改善に向け対応しなければいけないこと、将来の安定供給に向けて進めなければいけない事業など、議会の皆様や関係者と、できる限り早期にしっかり議論したいと考えています。
【医療局】
◇平成25年度決算見込みについて
市立田沢湖病院は、外来患者数の合計が3万347人、前年度より1,592人の減少となっています。入院病棟は、これまでの「障害者施設等一般病棟」を継続し、病床利用率の向上に努めてきました。しかし、入院患者数は1万7,031人で、前年度より1,281人の減少という結果です。
外来患者並びに入院患者の減少で、医業収益が減益となることから、職員給与費を含む経費の削減に精一杯努力してきましたが、結果的に純損失1億141万4千円を計上することとなりました。
市立角館総合病院は、外来延患者数が14万5,156人、入院延患者数が7万9,581人で、前年度に比べ外来患者は増加しましたが、入院患者は減少しています。経常損益は、前年度と比較し5,388万6千円の減益で、結果的に5,912万8千円の純損失を計上することとなりました。職員給与費、材料費等経費の削減に努めた結果、事業費用では減少となりましたが、事業収益では外来患者が増となったものの、入院患者の大幅な減少で医業収益が減少したと分析をしています。
医療局は、人件費や事務費等の執行で、3,240万1千円の純損失を計上することになりました。医療局は経営上は直接的な収益をもたらす機関ではないので、このような決算となりましたが、今年度から一般会計から一定の支援を行い、事業費用と累積欠損金の解消に向け取り組んでいる現状です。
◇平成26年度の診療体制について
市立田沢湖病院は、3月末で医師1人が退職し、その後任に4月から自治医科大学出身の秋田県職員医師が就任しています。
医療を取り巻く環境は依然として厳しい状況ですが、本年度も引き続き市民へ良質な医療を安定的かつ継続的に提供することを目的に、常勤医師3人に加え、秋田大学、岩手医科大学、県立脳血管研究センターのほか、他の医療機関からも非常勤医師の派遣をいただきながら、診療体制の充実と質の向上、併せて積極的な経営改善に努力します。
市立角館総合病院は、平成26年3月末で医師4人が退職し、4月より総合診療科へ3人、消化器内科2人、外科1人、産婦人科1人、精神科1人の常勤医が赴任し診療にあたっています。特に総合診療科医師が1人から3人となり、より充実した診療体制となっています。また、基幹型臨床研修病院として、昨年度は常勤の研修医が不在でしたが、今年度は前期研修2年目の臨床研修医が常勤の研修医として研修にあたっています。
来年度以降の常勤医の医師確保では、診療内容の充実を図る上で医療局を中心に医師確保に向け努力を傾注します。さらに病院経営にあたっても、経営改善に努め、市民への充実した医療サービスを提供し、安心して治療が受けられるようなお一層努めます。
◇市立角館総合病院改築事業について
市立角館総合病院建築事業費について、基本設計終了後に見込みを上回る労務費及び材料費等の高騰で工事見積額が上昇しています。そのため工事仕様内容等の見直しを進めてきましたが、中核病院・災害拠点病院としての役割を果たすために、工事費の増額が避けられない状況となっています。
そのため、継続費の増額に伴う「仙北市病院事業会計補正予算」を上程しています。ご審議をよろしくお願いします。
以上、主要事項並びに諸般の報告を申し上げました。本定例会に提案している案件は報告関係5件、条例関係1件、予算関係5件、契約関係1件、人事関係2件、その他1件、諮問関係1件の計16件です。
慎重審議の上、全議案についてご可決を賜りますようお願い申し上げ、市政報告とします。
※なお人事関係の審議は本日で終え、田沢財産区管理会委員に千田博夫さん(再任)、浦山清悦さん(再任)、人権擁護委員に清水力さん(再任)で、それぞれご同意をいただきました。
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