2024年2月10日土曜日

小澤征爾さんのこと


 写真は20代のころ熱読した「ボクの音楽武者修行」(小澤征爾著・新潮文庫)。今月6日に亡くなった小澤征爾さんの自伝エッセイです。数年前、その小澤さんを仙北市にお招きし…。

 市内の子ども達が主役の手づくり演奏会を開催できないか、そんな企画が内々に進んだ時期があります。小澤征爾さんの実兄・小澤俊夫さんが主宰の昔ばなし大学は、創設20周年大会(2012年)と25周年大会(2017年)を、連続して仙北市で開催いただきました。以前から小澤俊夫さんと市実行委員会の皆さんの信頼関係は深く、大学行事を超えた交流も長年続いています。そんなご縁があり、また兄・俊夫さんが体調を崩した弟・征爾さんを思い、冷涼で温泉が豊かな田沢湖での療養を提案したのかも知れません。このお話しは実現しなかったので、その後も表に出ることはありませんでした。もし療養が実現したら、合唱や吹奏楽の演奏を地元で開催し、そこに小澤征爾さんをご招待して聴いてもらおうと…。そうなったら、世界の小澤はきっと黙っていられなくなって、子ども達の前でタクトを振るに違いない、そんな夢を見ました。

 さて「ボクの音楽武者修行」は、紀行文として超一級です。24歳の征爾さんが神戸から貨物船に乗り込み、背中にギターを背負いスクーター(富士重工製ラビットジュニア125cc)に乗って、ヨーロッパ各地の指揮者コンクールに殴り込み優勝を繰り返す…。ヨーロッパやアメリカ、ドイツの町並みが目前に浮かぶような描写が軽妙です。さらに当時は日本人に西洋音楽は理解できない、ましてやマエストロなど無理、これが世界常識でしたから、それを行く先々で覆して見せる活劇アドベンチャーの要素もてんこ盛りです。私もこの本を読んで大いに刺激を受け…、それで現在に至っています。人生のバイブルの一冊です。皆さんぜひ読んでください。
 小澤征爾さん、ありがとうございました。


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