2017年3月21日火曜日

ヒカリゴケにしたこと

 30年ほど前の写真です。私が指さしている先は、岩が光っているように見えますが「ヒカリゴケ」の群生です。近所のお爺ちゃんから「山の中、真っ暗な洞窟の奥に緑色に光る岩があった」との話を聞き、仲間たちと山中を歩き回って、ある洞窟の中で発見しました。でも、この後が最悪でした。

 ヒカリゴケは気温や湿度などに敏感で、日本では環境省がレッドリストの準絶滅危惧に指定しています。実際は発光生物ではなく、コケの胞子が光を反射するレンズ構造で、それで光って見えるとのこと。こんなお話を秋田県立博物館の学芸員から教えてもらい、発見の話題は地元新聞にも掲載されました。テレビの取材も受けました。しかし私たちの思慮不足で、洞窟の場所が世間に知れ、10日も経たないうちに、ヒカリゴケは石ごと(岩もはぎ取られ)持ち出されてしまいました。先の学芸員からは、盗掘前の状況に戻るには30年はかかるだろうと言われました。その罪悪感を今も引きずっています。

 あの出来事から30年、本当だったら天然記念物に指定されなければいけない財産でした。どれだけ再生が進んだのか、まだ確認に向かう気持ちになれません。

2 件のコメント:

  1. 娘(9歳)は苔が大好きです。苔の図鑑を見ては、『一生に一度は、ヒカリゴケを見たい』というので、私は初めてヒカリゴケという存在を知りました。ヒカリゴケを調べたり人から話を聞くうちに、こちらのブログにたどり着きました。ヒカリゴケが秋田県にあったという事実だけでも、大収穫です。30年後…希望が湧きます!

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  2. ご覧いただきありがとうございます。あれから月日がさらに過ぎ、以前の状態に再生されていると信じています。夜、誰もいない山中で、月の光を反射して緑に光る洞窟が、きっとあります。

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