2017年1月22日日曜日

高井有一さんをしのぶ会

    昨日の「高井有一さんをしのぶ会」(共催:仙北市・角館図書館後援会)で、お越しをいただいた中村輝子さん(高井有一さんの奥様)と、塩野米松さん(角館在住の作家で聞き書きの第一人者)の対談が心に残ります。

 そもそも高井さんと中村さんは、共同通信社で一緒に働く仲間でした。塩野さんが「高井さんはお勤めしながら、あれだけの小説を書いています。会社ではどんな様子でした?」と聞くと、中村さんは「会社の仕事を夕方までに済ませ、若いスタッフを連れて飲みに出て、その後に部屋でこっそり小説を書いていたんだと思います。たぶん大変だったでしょうね」と…。しのぶ会の冒頭で、高井文学を解説いただいた秋田県立大学の高橋秀晴・教授は、「高井さんの作品はその数に比べて全く駄作がない作家でした」と話していましたし、新潮社の斎藤暁子・編集長は、「ご人格も作風も、現代では無二の方だと思います」と残念がっていました。
 私の無知で、勝手に思い描いてきた高井さんのイメージは大きく変わりました。高井さんは努力の方だったんだ、もっともっと人間くさくご指導をいただきたかった…。

 対談を聞いて、しばらく角館に近づこうとしなかった高井さんが、第54回芥川賞受賞作品「北の河」を書き上げてから、角館を“郷里”とした心情の変化、少し分かったような気がします。
 高井さん、どうぞゆっくりとお休みください。
※3月31日まで、仙北市・新潮社記念文学館で「追悼館蔵品展~高井有一展~」を開催中です。ご入館をお待ちします。
※本来は文中で高井先生とすべきところです。ご了承ください。

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