2017年1月4日水曜日

新年のあいさつで

 本日行った「新年のあいさつ」で、次のお話をしました。皆さんにも共有いただきたいと思います。

1.初めに
 平成29年の新春をお祝い申し上げます。昨日は、包括連携協定を締結した青山学院大学の陸上競技部が、箱根駅伝で3連覇を達成しました。とても明るい話題で新年がスタートできました。私も読売新聞本社前でフィニッシュに立ち会いました。今後は協定内容に基づき、学生の受け入れなど既定の事業が進みますが、仙北市としても都内の一等地に活動拠点をいただいた訳で、職員の皆さんはこの強みを最大活用して欲しいことをお願いしておきます。
 さて、市内は全般的に穏やかな年明けでしたが、しかしこの静穏は嵐の前の静けさだと感じています。


2.国際情勢は内外で変革する
 今年は様々な場面で勝負の1年になります。仙北市も秋田県も日本も同じです。今の国際情勢は、荒波に突入する前夜と言った状況です。世界の国々では、内向きな自国最優先政策を主張する政党や指導者が、多くの国民の支持を得る傾向にあります。この事態を私は危ういと感じています。偏狭的なナショナリズムは国際紛争の温床になり、テロリストにとっては格好のターゲットです。内需を生み出す力が残る国であれば、この鎖国政策は一面で的を射たものと言うこともできますが、日本のように人口減少国に転じて10年も経つ国は、国外に生産と消費を依る場面が多く、海外事情が私たちの生活に直接影響をもたらすと思った方が適切です。例えば台湾とのお付き合いは観光分野だけでなく、外交上の経済対策を見ても、対中国・対アメリカ・対ロシア外交の行方を注視する必要があります。また韓国便の再開も含め、秋田県は次の手の準備を進めていますが、これらも含め、国際政治の動向が少なからず仙北市に影響を及ぼすことを意識しながら、発信地がさざ波のボリュームであっても、仙北市にも大きな波動となり押し寄せる覚悟で、身構えをお願いします。


3.今年を産業の再構築元年に
 観光産業の在り様が、市内の全ての産業に大きな影響を及ぼすことはご承知のとおりです。近年の実態は統計分析を見ても、入込客数の増加策に有効打を示せないでいると認識せざるを得ません。もちろん仙北市だけの要因ではないにしろ、これまでの取り組みでは拡大基調に乗せることが困難です。しかし仙北市は、他市町村が羨むほどの素材に恵まれています。これに加え、さらに昨年末は「角館祭りのやま行事」がユネスコ世界文化遺産に登録となり、ミシュランの格付けでは星2つのエリアが2ヶ所、星1つのエリアが3ヶ所、星なしで3ヶ所がWEB版で紹介されました。本編のミシュラン・グリーンガイドにも搭載が予定されています。グリーンガイドは、世界で最も支持される旅行ガイドですが、特に欧米人の利用が多いことから、今年からはアジア戦略に加えて、欧米対策を強化する必要があると考えています。また都市農村交流・インバウンド対策では、昨春のオーライ!ニッポン大賞に続き、ディスカバー農山漁村の宝で特別賞を受賞しました。仙北市は既に全県で半数の外国人滞在者数になっていますが、県内レベルでの思考は取り組みに甘さが出ます。これは改めてください。常に一段高いターゲットを設定するのが私の仕事の流儀です。次の目標は東北で一番です。時間は多少かかっても必ず実現できます。
 さて、今年は世界文化遺産の登録を機に、「曳山会館」の姿を示す年です。また多くの自治体と協力し合いインバウンド対策を特化する年です。秋田空港はもちろん、大館能代空港・函館空港・仙台空港・そして各空港の所在自治体と一緒に、函館・大館・仙北市角館の3Dプロジェクトを立ち上げます。これは、空港のない仙北市でも、空港の恩恵があると言わせる取り組みになります。
 重要な視点は、これらの秀でた優良パーツをどうやって地域の経済再生に繋げるかです。まさに知恵の出しどころです。果敢に挑戦してください。なかなか成果が出なくても、これは誰も咎めません。しかしエラーを恐れて何もしない、そのような姿勢を私は許容しません。肝に銘じて職務にあたってください。
 農林水産業は大きな転換期を間もなく迎えます。米政策の見直しでは、30年産米から行政による生産数量目標の配分がなくなります。農家の皆さんは大変な不安を抱えています。しかし考えようによっては、自由に米をつくる時代がやっと来たと言うこともできます。売り先さえ確保できれば、米は再び仙北市の戦略的作物になり得ます。この後の観光対策で必死に観光客実数を増やし、訪れる方々に米を食べてもらう仕組みをつくる、そんな目出しの政策が必要です。これが実現できれば、輸送コストや手数料を差し引かれることなく、農家所得の増大に寄与できることが見込めます。
 林業や水産業は、米づくりで農家の所得確保が進めば、また新たな活路を見出すことができます。今年は国立公園や県立公園の施設整備が進みます。この動きを確実なものとするためにも、(株)モンベルとの連携協定が必要でした。野外活動を市民リクリエーションの核に据え、全国のアウトドア派が挙って仙北市に来るようになれば、木炭需要も増えます。日本一の炭焼き技術は担い手の確保も見えてきます。渓流釣りでお出でになる方々が増えれば、アユなど放流事業を充実しながら、養殖業も新たな段階にステップアップすることができます。殿様アユの安定供給も実現します。
 職員の皆さんは心の中で、「何だ、あれこれ言っても、みんなタラレバか」と思うかも知れません。そのとおりです。しかしこの思考こそ全てのスタート・ポイントです。職員の皆さんには、もっともっと「タラレバ」的思考を巡らせて欲しいと強く思っています。同時に思考回路をワン・ウエイからツー・ウエイ、スリー・ウエイに複次化してください。「こうなれば、次はこれができるんじゃないか」とか、「ここに辿り着くには、先ずここから始めよう」とか、そんな意識を片時も忘れないでください。そうすれば仕事は創造的になります。楽しくなります。
 地方創生特区・近未来実証特区の取り組みは、国家の大切な役割を担っていますが、何より仙北市の産業構造の転換に有効でなければなりません。仙北市民が良かったと思えない事業に意味はありません。今年もビック・プロジェクトや著名企業との事業連携などが目白押しです。それは経済対策である他に、市民や私たち自身の意識改革を進める助けになるはずです。秋田県の前進力にも不可欠な戦略だと考えています。


4.市民の安心安全と健康維持・増進に取り組む
 市民生活の基本は安心・安全な毎日です。それをどうやって担保するか、行政の役割はここにあると言い切っても過言ではありません。市民の皆さんが、心身ともに健康を維持するための仕事が行政サービスです。そこで、先ずはある資源を活用する手法として、本格的に温泉を活用した健康の維持と増進対策を始めます。全国で人気の温泉に恵まれた仙北市です。これまで最も身近で、それ故か軽視してきた感のある温泉と言う存在、湯治と言う文化を、医療と連携して高次活用する仕組みづくりです。市民のヘルスケアーを第一番に、また外部からも訪れたいと思わせる新たな観光素材として磨き上げをします。必ず次代の仙北市の売りになります。この現場は田沢湖病院を中心に、市内の診療機関から協力をいただくことを想定しています。この初動作業と位置付ける西木温泉のクリオンプールが再開間近です。これまで関係部署の皆さんには大変ご難儀をかけましたが、さらにフィールドを広げ、健康をキーワードに全庁体制で、「医療と食と娯楽」と温泉を組み合わせたメニュー造成を急ぎたいと思います。特区事案になっている外国人医師の診療は、6月を目途に実証実験を行います。国内初の試みで注目度が高い事業です。仙北市が保有する多彩な温泉資源の情報発信として、活用できるタイミングで実施します。市立角館総合病院は4月から業務を開始しますが、新病院の役割の中に、在宅医療や在宅介護などで成果を上げることができるよう、さらなる関係機関との連携構築を進めます。


5.懸案解決に前のめりで全力投球を
 庁舎整備事業に一刻も早く道筋を付けたいと考えています。A案の実現に向けて最大努力し、新市建設計画の変更作業を急ぎながら、同時進行で実効性の高い組織再編を行います。さらにその後、総合体育館・総合給給食センター・また道の駅の検討などが控えています。運動公園などのビジョンづくりも必要と考えています。また女性の働き方改革を進め、女性から、そして子供から支持をいただけるまちづくりに取り組むことが必要です。子育て環境や教育の充実は、人口減少対策としても、また定住対策としても大きな魅力になります。仙北市の方針として明確なメッセージを拡散したいと思います。これを受信していただき、ともに汗をかく担い手が出現しなければ、仙北市に未来はありません。
 玉川温泉の冬期岩盤浴再開は国庫事業の導入で糸口をつくり、田沢湖再生は田沢湖クニマス未来館のオープンで活路を見出したいと思います。
 これまで述べた取り組み姿勢は、皆さんの仕事のほんの一部にすぎません。お話の他、私は常に何事に対しても、機を逃さず、「できることも、できないことも、市民のためだったら何だってやる!」決意で、仕事に向かいます。皆さんもよろしくお願いします。
  最後に、部署に限らない事案で、私が思う上司の在り方について一言申し上げます。特に管理職の皆さんにですが、上司は部下を指導し、育成することが重要な職務です。後輩を自分よりも優秀な行政マンに育てるロマンを抱き、あえてそのための時間を工面する努力をお願いします。また仕事全体の工程管理を怠ることがないよう、改めてお願いをします。
 以上です。皆さんにとって平成29年の365日が、生涯で最も充実し楽しかったと回想できる1年になることをご祈念申し上げます。くれぐれも健康管理にはお気遣いください。

※写真は田沢湖庁舎の様子

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