2017年5月3日水曜日

移動中に角田光代さんとお会いしたような…


 「全国山・鉾・屋台保存連合総会」で、富山県南砺市に向かっています。北陸新幹線の中で〝復興の町を行く〟と題した角田光代さんの随筆(トランヴェール5月号)を読みました。まるで車内で角田光代さんとお会いしたようなものです。ここで『八日目の蝉』とか、『おまえじゃなきゃだめなんだ』とか、『ロック母』とか、『紙の月』とかを語らなければ、自称ファンクラブ東北ブロック代表の名折れになります。と言うことで、一押しの『キッドナップ・ツアー』について全く私的な所見をシルシマス。

 『キッドナップ・ツアー』は、NHKでもドラマ化していて、皆さんお馴染みの作品だと思います。ザックリ紹介すると〜夏休みに母と別居中の父に誘拐(キッドナップ)された小学生のハルと、だらしない父の珍道中物語〜です。この中で忘れられない場面があります。ハルが街の中で「私は知らないオジサンに誘拐されてま〜す。助けてくださ〜い」と叫ぶシーン。すぐ周りの大人たちは警察に通報し、数人の警官が駆け付け、父を取り押さえ、そして警察署に連行されそうになります。父は必死で訴えます。「私はこの子の父親です!。本当です!。DNA鑑定してください!。信じてくださいよ!」…。

 皆さん、自分の子どもと一緒にいて、「この人に誘拐されました」と言われたら、どんな方法で親を証明できるでしょうか。「似ているでしょ」は他人の空似もあります。「子どもが好きな食べ物、テレビ、遊び、全部が言えます」は説得力がありますが、特に父親の皆さん、言えますか?。たぶん私は無理です。子ども達との思い出は、抱えていた仕事のボリュームに反比例していました。「キッドナップ・ツアー」的事態になると、私は確実に2〜3日は拘留されます。申し訳ないことをしたとの反省が、読む度に強く湧き起こる作品です。これが一押しの理由です。

※移動中の雑事にお付き合いいただき、ありがとうございました。

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