昔むかし、角館から少し入った村で起こったお話しです。その秋はひどい不作でした。どの農家も冬を越す食べ物を用意できず、雪の降る季節を迎えようとしています。ある寒い夜のこと、小さな集落に人買いがやって来て…。
貧しい農家に上がり込み、言葉巧みに家族を騙し娘を買い取ってしまいます。娘は人買いに手を引かれ、泣きながら真っ暗な夜道を歩くしかありません。夜もふけ、ついに初雪も降り出し、二人が山道に入ったあたりで吹雪に変わって…。その雪の中に突然、白い着物の美しい女が現れました。女はこの山に住む雪女でした。雪女は人買いの前に立ちはだかり、冷たい目で鋭く人買いを睨みつけます。人買いは全身の血が凍るような恐怖を感じ、一歩も動けなくなりました。その隙に娘は走り出し、無事に家に逃げ帰ることができたそうです。
人買いはそのまま吹雪の中で凍え死んだとも、気が狂い行方が分からなくなったとも言われています。


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