2019年10月16日水曜日

まちづくり日記159「それぞれの精いっぱい」



 広報せんぼくに連載中の〝まちづくり日記〟です。本日発行号では、庁舎建設の背景や事業経緯、今後の取り組みについてまとめています。
 
 平成27年6月に示した仙北市庁舎整備基本構想は、合併後の長い議論の結論として、統合庁舎の必要性を明らかにしたものでした。利便性、財政状況、防災、まちづくりなどの視点から多くの検討を重ね、旧角館病院跡地を新庁舎の所在地として選定した内容です。しかし市議会はこの場所に難色を示して独自検討に入り、JR角館駅前の商用地を最適地として選定します。この案は市議会特別委員会では可決、ところが後日の本会議で否決となり、当時に描いた統合庁舎への道筋は閉ざされました。私は、角館庁舎(現庁舎)の老朽化が著しいため、来庁する市民や職員の安全対策が急務と判断し、新・角館庁舎の建設を模索しました。その思いを平成29年4月に示した庁舎整備基本構想に投影しています。それまでの統合庁舎の議論で明らかになっていた人口減少社会への対応、また抜き差しならない財政事情や経済情勢を考えて、将来市民のお荷物にならないよう、できるだけ部署・人員を集約したコンパクト庁舎をイメージしました。皆さんご記憶にある通り、この構想にも百論ありました。しかし市議会にはこれを認めていただき、二度にわたる入札不調を経て、現在、角館交流センター・健康増進センターの一帯で工事が進行中です。この後は、耐震化が必要な田沢湖庁舎(市議会・総務部門)と西木庁舎(教育委員会・各種団体事務局)の改修に着手する予定になっています。



 平成27年に示した構想も、平成29年の構想も、議会や市民の皆さんと徹底議論がありました。庁舎工事は、それぞれの場面と立場で、市民と議会と市が探り出した答えです。でも万全ではありません。何だって手にした答えはいつも未完です。それを理解し、貪欲により良い手法を求め続けることが、成長の原動力になります。庁舎問題に限らず、新たな挑戦には産みの苦しみが付いて回ります。答えに辿り着けたと思っても、すぐ新たな課題に直面します。でも大丈夫。市民の皆さんと一緒により良い手法を探り出せば良いのです。周囲を思いやり、それぞれの立場で精いっぱいを尽くすことが、最善を手にできる唯一です。
※写真は新角館庁舎の建設現場(ドローン撮影:播磨靖之さん)

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