2013年10月25日金曜日

土石流災害の検証と対策

昨日開催の臨時議会終了後、記者会見で「8月9日発生の豪雨災害(先達地区土石流災害)の初期対応検証と新たな対策」を公表しました。災害が発生した前後の市役所や各関係機関がどのような対応を行ったか、これは次の災害で被害を最小限にくい止める教訓になります。また災害対策を行う全国の市町村にとっても重要な前例です。そんな意味合いから、これまで地道な聞き取り作業を行ってきました。大まかな内容は次の通りです。

 8月9日、災害発生の当日、対応は朝から始まっていました。当時は西木地区の上桧木内で降雨が激しく、8時10分には市の建設課が、同12分には角館消防署が対応に動き始めています。秋田気象台は8時32分に大雨・洪水警報を発表。9時に市は災害連絡室を開設。同30分には桁沢福田会館に住民を避難誘導。10時6分、秋田地方気象台は「これまでに経験したことのないような大雨」と言う表現で気象情報第3号を発表しました。10時25分、田沢の大深地区から「別荘地で土砂崩れ」の情報が入り、市や関係機関は田沢地区での対応も並行します。11時13分、市の建設課第3班が供養佛に到着。町内会長に会った後、大深地区の崩落現場に向かいました。土石流災害が発生したと思われる時刻は11時30分から35分の間です。
 雨が降り続き、ガスがかかった状況で山腹の視界は確保できなかったと言います。しかし現地で対応する消防署員の目前に土砂や丸太が迫ってくる状況から、土砂災害が起こっていることを消防司令に通報。現地から市に入る情報を基礎に、11時50分に市は災害対策部を設置。12時9分には消防署が現場本部を開設し現地情報を集約。災害規模が未だ不明な中で市に土石流が発生した旨の報告があったのが12時20分、市が最高警戒態勢の災害対策本部を決定し、関係機能を田沢湖庁舎へ移動し始めたのが12時30分。同時進行で各機関からの情報収集、一時的な天候の好転で視界が開けたことによる現場状況の再把握、行方不明者の精査などを進める中、人命救助作業が必要なこと、さらに二次災害の危険性があるとの判断で、避難勧告を発令したのが13時45分です。この45分から同53分の間に、漠然と土石流災害のイメージを持つことができました。14時10分には佐竹知事に自衛隊の派遣を要請。以降、捜索活動が本格化します。

 災害対応の基本とも言える「何が起きたのか」、「どこで起きたのか」、「それはどれくらいの規模なのか」など、必要情報の収集力(システム)が弱かったことは否めません。また当初から、「先達川が氾濫したのではないか」と言う先入観が先に立ち、土石流のイメージを持てなかったことも事実です。
 新たな対策では、まず職員の危機意識を日常業務から高次化することや、消防・警察機関と初期段階から情報を共有する体制ルールを整えることにしました。避難勧告の条件整備も防災計画に盛り込みます。また気象庁の特別警報などを踏まえ、緊急災害対策チームを立ち上げます。また住民の防災意識や危険箇所情報の事前把握が何より重要と考え、先週から各地区で自治防災組織の増加拡充を加速する説明会を始めました。参加した方々の意欲も高く、今回の災害が教訓となっていることを実感しています。自治防災組織の立ち上げで、防災訓練の開催や緊急連絡網の整備、雨量計の設置と管理などを進めることにしました。

 現在は市役所が分庁舎方式となっています。市役所組織として防災力を高めることに制約がある現状ですが、可能な限り来年度の組織再編に教訓を生かしたいと思います。

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