2025年6月25日水曜日

夜這い地蔵の冤罪


 仙北市で異色の物語と言えば、角館白岩に伝わる夜這い地蔵(写真)伝説です。この地蔵は夜な夜な村に出かけ、娘たちに良からぬことをしたと伝わっていて…。でも、これはきっと濡れ衣(冤罪)です。

 地蔵自体は60〜70cmと小さく、そして男前(地蔵さまに性別はないのですが…)です。伝説では夜這い地蔵を凝らしめるため、背中に釘を打ち付けて自由を奪ったそうで、その血痕が地蔵の背中を今も赤く染めていると聞きました。しかし…、たぶん地蔵は夜這いをしていません。無実・冤罪です。そもそも地蔵は人々を救済する仏で、人々を苦しみに追いやる行為を最も嫌います。さて昭和30年代ごろまでは、秋田では夜這いの習俗が残っていたそうです。でも実は夜這いには厳格なルールがあり、前もって男性が女性に打診をし、それを女性が了解した場合のみ家や部屋に入ることを許されたそうで…。夜這い地蔵は、こんなルールを守れなかった若者の身代わりになって集落内の波風をおさめ、一方で汚名を背負わされてしまったと考えることができます。

 夜這い地蔵の物語の陰に、集落内の家関係・人間関係に忖度し、地蔵を悪者にして集落の輪を守った知恵者の存在を感じます。様々な意味合いで、やはり異色の伝説です。

0 件のコメント:

コメントを投稿