2025年9月10日水曜日

太郎の妻の企て


 八郎太郎がカゴ山でマタギ仕事をしていた頃のお話しです。太郎の妻は美人でしたが嫉妬深い人で、太郎が泊まっている山小屋に女がいるのを見て、太郎を蛇にすることを企てました。まず…、

 妻は太郎がイワナを食べるよう、いつも米を研ぐカゴ山の麓の大淵にイワナを放ちました。そんなこととは知らず、太郎はイワナを捕まえ仲間の分まで食べてしまいます。すると異常なほどノドが渇き、川の水を飲み干す勢いでゴクゴクと身体に流し込み…、気がついた時は既に蛇体へと変化していました。太郎は仲間たちに別れを告げ、最初は大淵に沼をつくって棲み、ここが手狭になると七座に、そして最後は八郎潟へと移り棲んだと言うことです。

 このお話しの出典元は、「マタギ聞き書き(武藤鉄城さん著:河内書房新書)」です。マタギの間で伝承されてきた怪異譚は、どれも興味深いものばかり…。
※写真はマタギ小屋イメージ(白神マタギ舎HPより)


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