2024年7月28日日曜日

たつこは働き者


 田沢湖の龍神たつこが、まだ三之丞家で母と二人暮らしだった頃のお話しです。たつこは山仕事や畑仕事に加え、裏山の峠を越え小白川の長者屋敷に奉公に出ていました。

 この長者屋敷で、たつこは小豆研ぎ(あずきとぎ)をするのが日課でした。小豆5斗(1斗は15Kg)を背負い、院内川の淵まで小豆研ぎに往復したとのこと。たつこは働き者で、どんな仕事もやり通したと伝わっています。今でも地元の皆さんは、越えた峠を五斗坂、淵は五斗淵と呼んでいます。

 たつこは早朝に長者屋敷へ到着しています。この頃、院内岳にあった大蔵観音に通い、永遠の美しさを願ってお百度参りもしています。このお百度参りの時間帯は文献では深更(真夜中の意)とあります。しかし大蔵観音と長者屋敷は反対方向にあって、そのほぼ中間に三之丞家があることから、距離的・位置的な条件を考えると…、たつこは午前3時には動き始めないと奉公に間に合いません。たつこのお百度は寝る前だったか、それとも早朝だったかの議論がありますが、寝る前だと深更の表記は適切ではないので、早朝にお百度参りをして、その後で長者屋敷に奉公に上がったとの考え方が自然です。

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