2014年4月1日火曜日

年度始めの覚悟

市内5箇所(各庁舎・各病院)で、職員の皆さんにお話しした内容をお知らせします。

 平成26年度がスタートしました。組織の陣容も一新し、これからの1年間、私たちは地方行政の最前線で市民協働のまちづくりを基本理念に、可能性を追求する戦いを続けなければなりません。同時に将来の仙北市の基礎を創る新たな仕組みづくりに挑まなければなりません。任期2期目、初めての4月1日を迎え、私の決意を皆さんにお伝えします。

 1期目の4年間は、本当に様々なことがありました。国保税の過大受給事案から始まり、所得税・固定資産税まで拡大した不適切な事務実態への対応では、市民や県民、多くの地方自治体に多大なご迷惑をおかけしました。また東日本大震災に係る復旧・復興支援では、現地連絡所の開設や職員の派遣、全国で初めての不燃系混合災害廃棄物の受け入れ、その他、各自治体との災害協定に基づく支援活動など、市民にも職員にも、大変なご難儀をおかけしました。玉川温泉の雪崩事故、先達地区の土石流災害は、返す返すも痛ましい事故でした。亡くなった方々が、命と引き換えに残してくれた教訓の多くは、現在の仙北市防災対策の礎になっています。しかしここ数年の間、毎年のように起こる自然災害は、仙北市の強みだった観光産業に大きなダメージを、深い傷跡を残したことも事実です。

 もちろん4年間で進展が叶った事案も幾つかあります。長くあり方が問われてきた市内の県立高校2校は、県・市民との集中議論で方向性を定め、この春、統合校としてスタートします。現在の大曲養護学校せんぼく分教室は分校化することが決定しています。老朽狭隘な市立角館総合病院は、来年の秋口に移転新築を終える予定で事業準備が進んでいます。地域運営体は全地区で設立となり、七転八起の創意工夫と活動が続いています。そもそも地域運営体は、地域の未来を住民の総意でデザインし、自らがその担い手となる究極の住民自治が理想です。この1~2年で、その成長熟度が地域の活力に直結することが分かってきたことから、今後はこれまでの距離感から一歩踏み込み、連携事業なども提案したいと思います。種苗交換会は、市民や職員、多くの関係者の努力で、仙北市史に残る事業とすることができました。あの交換会で得たものは、来場者数や売り上げ以上に、自信ではなかったかと思います。企業誘致は、原料生産と加工・商品化の各ステージで雇用が発生する6次産業の優位性に着目し、食品産業分野で企業誘致が始まっています。間もなく現地法人を設立する企業が1社ありますが、他の業界も加えると、年度中にはさらに数社が仙北市内で操業準備に入ります。これまで取り組んできた多くは、すぐに成果が現れたり、評価をいただけたりするものではありません。重ねてこの経済情勢、また農政の歴史的大変革です。市民の皆さんは、明日に対する深い不安を抱え、それでも、それぞれの生活と営みを続け、守るべきものを守ってきました。私たちは、今後もそんな市民の生活の傍らに寄り添い、所得の確保と福祉の向上に最大努力を講ずる責任があります。どうか皆さん、再度その決意を胸に刻み、日常業務にあたるようお願いします。

 さらに平成26年度は、幾つかの重要案件で判断を下し、行動を起こす年になります。
1.一体型庁舎・統合庁舎について、新築または既存施設の再利用、その位置や機能、想定職員 数、また不要となる庁舎の利活用手法など概要を構築し、それを市民に問うこと。
2.市民サービスの質的向上を目指し、市で行ってきた事務事業を民間に移転する作業に本格着 手すること。
3.特に幼稚園・保育園は、公営か法人等の民営運営とするか、早期に判断しそれを表明し、必要 な対応をスタートすること。
4.木質バイオマス事業検証委員会から出た改善案について、その実証を6月には始めたいこと。 その成果で下半期分の補正予算を提案か、または事業休廃止か、または当初の事業計画自体 の見直しか等、最善の判断をしたいこと。
5.田沢湖クニマス未来館の構想を確定し、建設に向けた作業を開始すること。同時に抜本的な水 質の改善議論にタッチすること。

 収納率のアップ対策や、社会保障・健康づくり、スポーツ振興に必要な体育施設の整備計画など、まだまだ案件は山積みです。あちらも宜しく、こちらも宜しくと言った行財政運営は、結局どちらも行き詰まってしまう、そんな前例を多く見ています。もう仙北市にそのような余裕はありません。

 松任谷由実さんの歌「ノーサイド」の映像を、ユーチューブで見つけました。国立競技場で行われたラグビー早明戦後、芝生に立って〝何をゴールに決めて、何を犠牲にしたの〟と歌っていました。作家の曾野綾子さんは著書「自分の財産」で、〝全てのものには対価を払わなければならない〟と述べていました。将来の仙北市をカタチづくる重要案件では、私の選択した判断と、その判断に対峙する選択肢があることが十分に考えられます。私の判断は市民の理を揺るぎない基準とします。そこには一片の私欲も存在しない、そして、ある意味合いでは市民への迎合もあってはならない、そう思っています。
 今年度は、例年開催の各種行事に加え、さらに国民文化祭、ワールドカップ・モーグル競技会が予定されています。ノウハウを蓄積していた職員の大量退職、国・県からの委任事務の増大、何より市民ニーズへの対応などで、日常はますます多忙となります。副市長も不在です。できるだけ早くに態勢を整え、ご不便を最小限に留める努力をします。
 いずれ職員の皆さんには激務が予想されることから、体調に異変をきたすことのないよう、上手な休養や気分転換で常に心身をリフレッシュしてください。また周囲・同僚への配慮もお願いします。皆さんが公務員生活を語るうえで、絶対に忘れることができない、そんな充実した1年にしたいと思います。

 終わりに、くどくて恐縮ですが、私たちは、もっともっと前に進むことができます。仙北市は、今後も日本一安全なまちづくり・住みよいまちづくりに挑戦し続けます。目標が高くて、私自身たまに照れて言葉を濁すことがあります。でも思いは言葉にしなければ伝わりません。職員の皆さんも、しっかりと自分の置かれている場所で、自分の言葉で、市民に伝えることを躊躇しないでください。
市民の皆さんには、仙北市で暮らす毎日に、幸せを実感して欲しいと強く思います。そのために市役所が市民の皆さんの光になる仕事をする、その決意を持ってこの一年、共に頑張りましょう。

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