大好きな武藤鉄城先生(考古学者・民俗学者)が、「鳥・木の民俗」(秋田文化出版社)で山手欅(ブナの別名)にまつわる昔話を紹介しています。そこには…。
山の神はブナの実を持って里に現れ、人々の労苦を見舞って歩いたことが記されています。田沢村小沢の部落では、近くの山の黒尊仏がブナの実をお土産に家々を訪ね、以後は部落全体が一切の災厄から免れたと…。ブナの実がどれほど有難く貴重だったかが想像できます。その実はソバより少し大きい程度で、決して食べ応えがあるとは思えません。でも栄養価が高く、当時はブナの実の一升は米のそれより高額だったと思われる、と書き残しています。
ブナの実は、最近はクマの食糧として話題になります。今年はブナの実が豊作だと聞きますが、それで里に出てくるクマが少ないのでしょうか。これ、もしかしたら山の神が…。
※今年、鉄城先生は生誕130年・没後70年です。


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