「12月定例会での一般質問全文」公表

平成15年12月8日


 会派いぶきの門脇光浩です。四月の県議選で仙北郡の皆様から選出をいただき、本日初めて一般質問に立ちました。お聞き苦 しい点などあるでしょうが、どうか最後までご静聴くださいますようお願いいたします。
 さて一般質問に入る前に、会派いぶきについて若干の説明をさせていただきます。
ご存じの通り、いぶきは自分と京野きみこ議員の二人で設立した新会派です。豊かな郷土づくりを実現するために、何よりも 県民の皆様の声を大切にしたいと思っています。プロセスを広く皆様にお知らせしながら、県民にとって必要な事業や制度づく りを進め、自身が実際に行動し、不要なものは明確に切り捨てる、分かりやすい姿勢で県政運営に携わっていきたいと考えてい ます。
 しかしながら、共に政治経験のない新米県議で、大変に危なっかしい状況の中で毎日を過ごしています。どうか温かくご指導 ・ご協力をくださいますようお願い申し上げます。
 それでは通告に従いまして、一般質問に入ります。知事におかれましては、率直で前向きなご答弁を是非ともお願いいたしま す。

一,県と市町村のパートナーシップについて

 最初に秋田県と市町村との関係について、知事のご認識をお伺いいたします。
 自分は昨年の九月まで西木村役場の職員でした。毎日、直接住民の皆様とお会いし、住民の財産と安全を守り、様々な要望や 苦情に頭を悩ませながら、豊かな人生を送れるようお手伝いをしてきたと思っています。全県の市町村職員の皆さんも同様で、 地方自治の最前線を担っていることを誇りとしています。
 しかしながら、仕事の中の大部分は、市町村役場で完結するものではありません。予算はもちろん、事業の採択、法律の解釈 等、隅から隅まで国や県のご指導が必要です。土地利用などに関しては、自由に使いたくても全く裁量権がないと言って良いほ どです。また膨大な照会文書に対する回答や計画書の作成には、幾ら残業しても追いつかない状況でした。
 当たり前の話で恐縮ですが、地方自治の原点は、自己決定・自己責任にあると考えます。また国や県、市町村は、対等な立場 で協力し合うものと解釈します。
 現状では地域住民も市町村役場も、国・県が上位にいて、市町村を監督しているような誤解があります。このような思い違い が、両者の距離感を産み、お願い行政が横行する要因となっているような気がします。
 市町村と県庁の、馴れ合いではない緊密感が必要です。職員同士のパートナーシップを醸成し、これを基本として、並列な組 織間の連携を構築できればと考えます。
 そこで知事にお尋ねいたします。知事は今会期初日の冒頭で、「市町村の自立なくして国の将来はない」と言う観点から、市 町村の目線に立つことが何よりも優先されるべきであると述べました。更に「県は市町村の自立を支えるサポーターとしての役 割を果たしていくべき」とまでお話をされました。
 地方分権一括法が施行され、機関委任事務の整理が進み、市町村合併と地方財政の三位一体改革等、地方自治体を取り巻く環 境が急変する中、自主・自立の地方自治確立に向け、県が市町村にとって真のパートナーとなるために、どんな県政運営をなさ ろうとしているのか、例に挙げて恐縮ですが、市町村合併における知事のイメージは、とにかく合併を進めたいと言う姿のみが クローズアップされています。これが市町村の目線かと言えば疑問です。道州制の議論は拙速です。横に置かれたような疎外感 を持った市町村が多いと聞きます。市町村を信頼し、運命共同体と認め合って、はじめてパートナーシップが成り立つものと考 えます。広範に渡るご所見をお伺いいたします。

二,既存施設を活用した介護施設の整備について

 次に、地域内における介護拠設の整備と、その手法に対する可能性についてお尋ねいたします。  県では、平成十三年度からコンビニ型保健福祉サービス事業を立ち上げています。既存施設や空き店舗を活用して、世代間交 流や日常の各種サービスを提供したい市町村に対し、施設一カ所あたり二百万円を上限に県単独補助金を交付しようと言うもの です。
 継続事業中間評価調書でも一定の評価がなされています。今後は更に本事業以外の国・県の補助制度を活用し、施設整備を進 める必要性が指摘されています。
ところで、秋田県では高齢化の進展に伴い急増する要介護高齢者に対し、多様な保健福祉サービスの提供を、量的にも質的に も確保することが喫緊の課題と言われています。平成十二年度から施行された介護保険制度は、このサービスの提供者を営利・ 非営利の多彩な民間事業者の参入を通じて推進することを前提としていました。
 介護保険制度がスタートしてから三年余り、各公的機関の努力もあって、居宅介護施設の建築は進展していますが、要望に見 合う状況であるかどうかは疑問が残ります。県内では、入所待機者が平成十五年四月現在で二千五百人を超えています。今後更 に高齢化の進展が予想され、施設の整備は何としても必要な政策と考えられます。
 高齢者は人生の先輩であり、その経験や知識等を考えると、多大なる人的財産だと言えます。心身機能が衰え、虚弱になり、 援助や介護が必要になっても、これまで長い間住み慣れた地域・居住環境を離れることなく、可能な限り自立した生活を確保し たいと、多くの方々が切望しています。 しかしながら、現状では本人や家族の意志に反し、居住の場を移らざるを得ないケー スが多いようです。
 実際、自分の祖母は要介護度五の判定をいただき、現在も秋田市内で療養中です。家族での介護は、徘徊程度までは可能でし たが、その後の不潔行為や時折現れる極端な精神異常の状況では無理で、大好きだった畑仕事も、聞き慣れた川の音もない、市 街地での療養となっています。
 本来的には家族の役割だった介護が、症状の進行や社会情勢の変革などで困難となった場合でも、せめて住み慣れた地域内で の生活を実現することに、秋田県は県民と協同し、最大の努力を傾注しなければいけないと感じます。
 行政や福祉団体が運営する大規模な居宅施設では、介護保険事業対象の各種メニューに従って潤沢なサービスが実施されてい ます。この諸施設と同様のサービスを、地域内で、しかも地域住民の手で実現できないでしょうか。
 そこで、サービスを必要とする高齢者・家族の傍らにある、例えば空き家や集落会館を活用し、地域のNPO団体等が運営す る介護施設づくりを進めることが大変重要に思われます。
 愛媛県の「高齢者やすらぎの場整備支援事業」は、このような思いで平成十五年度からスタートしました。ただ愛媛県の場合 は、介護保険事業対象ではない、いわゆるインフォーマルなサービスを提供するもので、その施設改築に支援を行うものに留ま っています。これは、空き家や集落会館を福祉サービスの拠点として改築する際、「指定居宅サービス等の事業人員、設備及び 運営に関する基準」(平成十一年厚生労働省令第三十七号及び老企第二十五号)」の規定があり、建築基準法や消防法のハード ルがかなり高いためと聞きます。このハードルを跳び越えるには、相当な改築費用が必要です。
 また公共施設の転用では、国庫補助金・国庫負担金を受けて建設した施設を当初の目的以外に転用する際、その手続きが必要 となります。この点については、今年の十一月二十六日に総務省が発表した「地域再生支援プラン」で、提示条件を満たした場 合のみ政府全体として推進する旨の内容が示されていて、国の前向きな姿勢を見ることができます。
 家族と地域が手を取り合い、責任を持って地域の高齢者を見守ることが、これからの居宅介護政策の背骨になると確信します。 しかしながら、これらの現行法規を緩和しない限り、NPO団体等が運営する地域内介護施設の実現は、相当厳しいのではない かと感じます。
 また既存施設を活用すると言っても、最低限の初期改修費用は必要です。地域の支え合いで福祉力を高めるためには、何とし ても県独自の補助制度が必要となります。
 厚生労働省が平成十三年予算より十六年度までの緊急措置で、国庫からの補助制度を立ち上げていますが、運用上の使い勝手 が悪く、当該制度を導入した民間団体の例はないようです。
 反対に大阪府や千葉県では、既存民家を改修してのグループホーム整備事業に対し、平成十五年度からNPO団体等に対する 県単独の補助事業をスタートさせ、運用が始まっていると聞きます。
 NPO団体等は地域のマンパワーを募るなどして、雇用の創出にも貢献すると思います。経営を継続するためには、利用者の 負担金や介護報酬をいただきながら、恒常的に責任ある運営をすることが大切と考えます。
 地域の空き屋や集落会館、保育園、教育施設等、既存資源の転用を含め、その有効活用を図ることは、そもそもコンビニ型保 健福祉サービス事業の根本的な考え方であったと推察します。コンビニ型保健福祉サービス事業が予防事業を活性化し、既存民 家を改修しての介護事業で民間活力を導入できれば、更に地域に安心感を産み育てることができると考えます。
 翌十六年度には、厚生労働省が新たな事業としてサテライト方式によるデイサービスを展開する見通しです。高齢者の近所に ベースを設け、必要なサービスを拠点施設から出前しようという考え方です。
 福祉サービスは、これからどんどん地域内で成熟していく必要があります。そのためにもNPO団体等が活躍しやすい環境づ くりは欠かせないものと考えます。
 これまで秋田県が取り組んできた介護政策を検証し、また中期的に県が目指す介護施策の整備目標、更にはNPO団体等が参 入するための環境づくりについて、知事のご所見をお伺いいたします。

三,子供達の体験学習推進について

 次に、子供達の生きる力を育む体験的な学習の推進施策について、お伺いいたします。
 明日のふるさと、次代の日本を担う子供達に、秋田県としてどのような教育ができるか、これは何事にも代え難い大きな命題 です。
全国で続発する悲しい事件は、子供達がある時は被害者に、そしてある時は加害者となり、今までの常識では理解できないケ ースばかりが目につきます。家庭教育力の低下が様々な場面で指摘される中、自分も四人の子供が小学校に在籍し、他人事では ないと言う思いが、政治に携わろうとした大きな動機になっています。
 平成十四年四月一日から、学校教育法施行規則の学習指導要領が改訂され、小学校三年以上で「総合学習」がスタートしまし た。知識偏重・詰め込み教育を是正し、人間として、社会の一員として、真の生きる力を身につけようと言う新しい目線であり 、一律の教科書にはない学習が、全国各地で展開されています。ふるさと学習、体験的な学習、交流活動等が活発化し、完全週 五日制による土曜日の休業化で、家族や地域の人たちとの校外活動を実施する環境はできました。
 しかしながら、教育制度の改革に追いつかない状況が、地域にあるように思います。
 例えばふるさと学習等では、地域の実践者が指導に当たる機会が多く、そのような人材がいるかいないかで子供達の学習内容 が左右される場面が非常に多いように見受けられます。青年会や各種のサークル、婦人会、老人クラブ等、全てが子供達の明日 を応援しなければいけません。家庭と地域、そして学校が一体となり、行政機関はもちろん、民間企業も総力を挙げて子供達の 学習を援助することが必要です。
 体験は何にも勝る学習です。教室外での五感を通した学習は、一生心に残ることは皆さんも経験済みの事と思います。聞くよ りは自分の手で触れ、写真で見るよりは実際その場に行った方が理解度は深い訳です。それらの感動を伝えたいと言う思いが情 報の伝達欲求を引き起こし、自己表現能力が自然に生まれると言った具合です。自ら学ぼうとする思いには、しっかりとした動 機付けが必要で、体験学習は正に打って付けの手法と考えます。
 秋田県では、子供達一人ひとりが夢や目標を持って、くじけずに立ち向かう精神を培い、各自の良さや可能性を伸ばす、個性 と想像力を育む教育を推進しています。時と豊かに暮らすをテーマとした「あきた二十一総合計画」からも、教育の重要性を強 く感じることができます。
 できるだけ、たくさんの体験を子供達にさせたいと思います。そう言う環境を大人達でプレゼントしたいと、県民は等しく願 っていると思います。 この教育観からすれば、秋田県が運営する各種の公的施設の入場料、使用料、入館料の金額設定には、 大きな疑問を感じ得ません。
 県立博物館、県立美術館、県立体育館、県立スケート場、県立総合プール、県立スポーツ会館、県立田沢湖スポーツセンター 、各地の老人福祉総合エリア、各観光レクリエーション施設、中央公園等、この他にもたくさんの県運営施設がありますが、そ の料金設定は、総合学習の理念を反映しているとは思えません。
 もっとも、使用料を平成十四年四月一日から引き下げた例もあります。南部及び中央地区の老人福祉総合エリアでは、室内温 泉プールの使用料を引き下げいただきました。また秋田ふるさと村の入村料、小泉潟公園水心苑の使用料、農業科学館の展示室 入場料、県立博物館通常展示入館料、生物資源総合開発利用センター生態系公園入園料、奥森吉青少年野外活動基地親子キャン プ場使用料などは、平成十一年四月一日から順に無料化に踏み切って好評を得ている例です。秋田ふるさと村では、無料化した 平成十一年から入園者が増加に転じ、平成十四年度実績では平成十年度と比較して約三倍の入園者となっています。また生態系 公園では同じく平成十年と比較して、約十五倍という驚くべき結果を残しました。
現在も有料となっている各施設は、依然として零細・少額の使用料が多く、徴収コストが使用料収入を上回っているのではな いかと心配されるほどです。ここにコストをかけるより、秋田ふるさと村や生態系公園のように無料化し、多くの県民に利用し てもらうことの方が、開設効果を充足する手立てと考えられないでしょうか。
和歌山県では県立近代美術館と県立博物館について、平成十四年度から高校生以下の入館料を無料化しています。その結果、 入館者数が約一.七倍に増加し、同伴の保護者の入館収入が増加したことで、全体としては入館料収入が一.三倍に増加したことを聞いています。 秋田県において、県有の各施設を教育振興の観点から無料化すると言っても、当然さまざまな議論が必要と思われます。
各施設が同種のサービスをしているにもかかわらず、使用料の額がまちまちである現状が散在します。もちろん、建設費用や 業態の運営コスト等からの算定でしょうが、これは県民からすれば非常にわかりにくい部分です。
 使用料の設定基準がどうなっているのか、思い切って県民を交え、利用者の考えを反映させるべく検討会を設置してはいかが でしょうか。
 子供を持つ親や各種民間団体が活用しやすい料金の設定が、求められています。
 施設の機能充実はもちろん重要です。ただ使用料の設定如何によっては、施設が生きも死にもすることを忘れてはいけないと 強く感じます。
 使用料決定のプロセスを明確化し、県民との協議により決定し開示する等、関係施設の全てが使用する県民の立場に立った料 金体系に再構築されますよう、できれば子供や学生は無料化し、その分を大人が負担するくらいの抜本的な見直しを提案いたし ます。
 以上、秋田県をあげて体験的な学習をサポートするため、子供・学生の各施設使用料軽減化、並びに使用料額についての県民 検討会等の発足について、知事のご所見をお伺いいたします。併せて教育長に総合的な学習の推進を観点として、施設活用に対 するご見解をお伺いいたします。

四,秋田県独自の農業・農村振興策について

次に秋田県農業が目指すもの、また農村の元気づくりに対する知事のご所見をお伺いいたします。
 現在の日本の農業政策を論ずる場合、国際的な視野に立った議論が必要であることは認識しています。国内においても地域間 競争が激化する中、消費者ニーズに対応した複合型農業の担い手育成が急務になっていることも、充分承知しているつもりです。
 平成十五年の農業構造動態調査によれば、県内の総農家数は七万七千三百七十戸で、この内、販売農家六万七千百七十戸に占 める専業農家は七千百八十戸であり、その比率は一〇.七パーセント、また認定農家は七千五百六十四戸で一一.三パーセント と言う状況です。
 秋田県としては、今後も利用農地の集積や分散の解消、経営体の大規模化による生産コストの削減を目指して、意欲ある認定 農業者を増加させる努力が必要です。この認定農業者の育成が、秋田県農業を変革するエネルギーとなれば幸いです。
 しかし九十パーセントもの農家が、第一種及び第二種の兼業農家、そして自給的農家であることを忘れることができません。
 この数値は、大規模な稲作への農地集約の可能性も示唆するものです。ただ実際のところ、米価の高値安定が望めないと予測 した場合、米の作付け面積を増やして増収を考える農家がどれだけいるかは疑問です。むしろ稲作プラスアルファの作物を三割 減反圃場に栽培し、回転の良い農家経営を行う方が効果的です。
 農業は適地適作が原則です。同じような経営が全国どこでもできるなどと言うようなものではありません。
 だからこそ、自分は国家が目指す「大規模化とコストダウン農業」とは全く異質な、秋田独自の農業理念に燃える「小さな農 家が高収益を上げ得る地域農業」を標榜すべきと考えています。
 これまで秋田の農業を支えてきたのは、一部の先導的農家と大部分の兼業農家です。
 時代に即応するための安全性と規模拡大政策を推進しながら、一方では誠に現実的に、小規模農業の、いわば零細家族経営者 の個性を発揮させ、小回りの利く農業を真剣に応援したり、これら農家の緩やかな連携を促進したりすることこそ、秋田の農村 を元気付ける有効策になると考えます。
 昔、地域にあった採算性の悪い品種を栽培してみたり、食べきることができないほど作った野菜をこまめに加工し販売してみ たり、冬期間の農家が行ってきた民具製作を支援したり、修学旅行の学生を引き受けてみたりと、大規模な経済活動、生産性の 向上とは対極的な部分の取り組みを、県として強力に後押しする姿勢を示さない限り、農村の暮らし、農に生きるプライドの復 活は、実現しないと考えます。
 秋田の農村は楽しいぞと、体全身で発信できるかどうか、現在の状況では残念ながらできないと思います。
 秋田の農業は、地域農村の再生にかかっています。今は余り聞かなくなりましたが、後継者としてどの地域の若者も参加して いた「農業近代化ゼミナール」のようなグループが、今こそ必要な組織体ではないかと感じます。同じように小集落に何らかの 小さなグループをたくさん育成し、そのグループが農村文化を次代に伝える役割を担えるよう、きちんと予算をかけて育成して はいかがでしょうか。農業法人と言った形態に発展することもあるでしょうし、ただのお楽しみ会に終わってしまう心配もあり ます。しかしながら、農村のコミュニティを新たな世代で築き上げない限り、担い手の発現を期待することはかなり難しいよう に感じます。
 西木村を例に申し上げますが、「むらっこ物産館」と言う直売施設があり、むらっこの会と名付けられた農家のお母さんグル ープが運営をしています。いつもでしたら冬は物産館の休業シーズンです。今年は物産館自体はお休みとなりますが、むらっこ の会の担当部門が営業を継続し、越冬野菜の漬け物を販売することになりました。
 販売先は首都圏です。浅漬けの新鮮な漬け物を消費地に輸送する手段や販売先も確保し、取り組み方次第では、冬期間の農業 収入に結びつく要素があります。
 もともとは仲良しグループだったお母さん達も、活躍の場を見いだしてから、起業家へと変身していった良い例です。しっか りとした意識付けがあれば、農村にも豊富な人材がいることを実証してくれた思いです。
 農林水産部が主管する各種事業は、経営規模によらない、農家の意気込みや将来ビジョンを応援するたくさんのメニューがあ ります。農家の長男としても、これには大変心強いものを感じています。しかしながら、生産や農業経営には直結しない、現在 の補助事業としては採択しにくいけれども、それでいて農村の産業として成長するかもしれない、そんな取り組みを、秋田県が 支援できるかどうか、これが実は大変重要な観点になると考えます。
 集落で酒を飲み交わすと、以前は一方の足を勤め先に、そして一方の足を田圃に踏ん張る若者の話に胸が詰まったものです。 農業には未来がない、自己表現する隙間がないと決めつけた言葉に対し、まあ盆踊りでもやってみようかと始めた夏祭り、久し く絶えていた火振りを復活させ、集落の子供達がこぞって参加する雪祭りと続き、現在は集落経営の手打ちそばの店舗開設に向 けて話が及ぶほど、意識改革は進みました。稲作の規模拡大ではなく、また転作作物の促進でもないところで、経済効果は別と して、地域再生の進展は可能だと考えます。
 半世紀もの間、摺ることのなかったささらの舞を復活させ、集落で小・中学生を指導する熟年グループ、冬期間の作業に打っ て付けと、楮を栽培しながら紙漉を始めたグループなど、採択いただく際、かなり県の皆さんに難儀をかけた農林水産省のソフ ト事業で芽吹いた活動は、しっかりと地域に根ざしています。
 時代は確かにソフトの重要性を示唆しています。これまでの事業では、どちらかと言えば添え物だったソフト事業ですが、農 業・農村を元気づける政策として、秋田県では本腰を入れて取り組む価値があろうかと思います。一人では難しいことも、集団 ・グループであたれば、それが楽しみに変わる姿をたくさん見てきました。
 生産性、経済性を追うが余り、大切なものを忘れてしまった感のある秋田県農業ですが、この辺で農業・農村の振興策に精神 的な拠り所を見つけ出し、先ずは集落グループの立ち上げと言う新たな観点をお持ちになっていただきたいと考えます。
 秋田県として如何に農業・農村を元気付けるのか、そのための新たなソフト事業の立ち上げや、集落内グループの育成援助等 について、知事のご所見をお伺いいたします。

 本日は、悪天候にもかかわらず、地元から自家用車で駆けつけてくださった皆様、また家族・子供達の前で、生まれて初めて 一般質問をさせていただきました。
 着任以来、自分自身が、体験的な学習の毎日を過ごしています。どうか、お力添えをお願いいたします。
ご静聴に感謝を申し上げ、終わりとします。